Scribble at 2022-07-28 11:57:53 Last modified: unmodified
jQuery 叩きというのは、それこそ React や Vue が出てくる前からもあったし、これからもあるのだろうとは思う。でも、そういう連中がたどりついたのも React という巨大で複雑な依存関係だった。ライブラリとか、自称「フレームワーク」とやらに依存しないで、ブラウザの ECMAScript エンジンがサポートするビルトインのメソッドだけを使おうという人は、結局のところ jQuery 叩きからは増えずに、「次の jQuery」を探すようなフォロワーを生み出しただけである。この国で中高生に正式な課程として教えようとしている「コーディング」とやらも、結局はアメリカの会社が作った道具を使って何をするかという話でしかない。もちろん、ここで安っぽいナショナリズムを語ったり示唆するつもりはないが、せめて「他人が作った道具」にばかり依存する下請け根性やブルーカラー根性くらい否定してから、「日本のジョブズ」だの「和製 Google」だのと世迷いごとを口にしたらどうなのか。
ということで、もちろんブラウザの実装に依存するとか、あるいは ECMAScript という規格に依存するという基本的な依存関係は仕方ない。自分で違う規格を設計して、それを実際に動かすエンジンのブラウザを自分で開発するのでない限り。自分でやれるなら、こういう依存関係すら無視してもいいが、今度は TCP/IP のプロトコルに依存していいのかという強迫観念のようなものへと陥ってしまう。みだりに出来合いの与件とか環境へ依存してしまう日本の大多数のエンジニアも困ったものだが、かといって逆に何でもかんでも自分で作ろうとしたり他人の成果を無視するような〈自律病〉とでも言えるものに陥ることも、同じような愚行であろう。まともな大人であれば、何を自分で作り、何を他人と共有するかくらい、合理的な条件を決めて判断するべきである。