Scribble at 2023-04-20 11:55:39 Last modified: 2023-04-20 11:58:50

会社の業務で共有されている方針とか基準とか手順というのは、まさに会社の「情報資産」なんだよね。これはもちろん数多くの試行錯誤の結果として、これがいいだろうという成果を比較して決められた経験則が大半を占めている。なので、若造のベンチャーとかが簡単に同じ基準を(大学でどういう学位を取っていようと)理屈だけで弾き出せるわけでもない。それは有能だろうと無能だろうと世界中の経営学者やマーケティング理論家やマッキンゼーだアクセンチュアだといった連中が、問答無用で決定的な理論や成果を出していないという明白な現実を見るだけで事足りるだろう。あいつらは、ハーヴァードの博士号をもっていようと、しょせんは札束で解決できる範囲のことを他人の札束で解決しているにすぎない。その範囲や効果が巨大であるがゆえに、あたかも経営やビジネスにおいて万能であるかのような錯覚を(出版・マスコミなどと一緒に)生み出しているだけなのだ。だが、少なくとも科学哲学者や多くの企業の部長にそんなハッタリは通用しない。

そうした営業上の秘密として法的にも保護されている情報資産は、自力で積み上げるのは難しい。若造の情報商材詐欺師にしても、有効なセールス文句とかグラフィックの見せ方などに多くの学ぶべき点があるとは言え、どういう話題や商品にも対応できるとは限らない。ヤクザがロケット・ランチャーの扱いに長けているわけでもなく、日本に山ほどいるであろう中国のスパイが全て天才的なクラッカーでもないのと同じである。よって、それぞれのもつ商材に特化したノウハウを積み上げている会社には、独特の知見というものがあり、これはもちろん新規参入する事業者にとっては大きな障壁となろう。でも、これを「既得権」だの「参入障壁」だのと不平を言って既存の企業に開示させたり共有させるなんて権利は、自由主義の市場経済制度をもつ国においては主張できない話である。

よって、企業としての「若造」が常に不利なのは当然であり、それは市場の安定性という観点から言えば、寧ろ望ましいことでもある。なぜなら、そういう不利な企業の多くは、どのみちバカや凡人が起業しているので、知見や商材の強みがなければ、イージーな手段として当然のようにダンピングという手段に出てきて実勢価格を不当に引き下げてしまうからだ。市場は、できるだけそういうデタラメな変動要因を排除するべきであろう。そして、逆に言えば企業としての「若造」と古参とか鎬を削るのは、やはり本来なら商品の品質やアイデアや販売アプローチなどにおいてであり、下げる根拠のない価格競争は短期的な優劣を決めるには手っ取り早い方法かもしれないが、それは売り逃げしたい事業者、つまりは商材や市場や産業に対して何の敬意も情熱も愛着もない連中が荒らして回った結果であって、経済的な焼き畑農業と言うべきものである。もちろん、事業継続性とか産業の安定が否定しようがない目標や価値であるかどうかは自明でないわけだが、少なくとも目先の金銭だけで動いている連中を排除するに足りる正当性があるのは確かだろう。

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