Scribble at 2021-05-20 10:43:09 Last modified: 2021-05-20 11:00:19

Amazon ってさ、なんというか dark pattern の見本市みたいなサイトであることは昔から(まともな)デザイナーには知られていたことなんだよね。そして、この手の dark pattern というのは、もちろんネットが普及した90年代の後半からこのかた、アダルト業界とかフィッシング詐欺師たちのあいだでは続々と新しい手法が考案されていたわけで、今頃になって騒いでるのはお子様というかウブというか、大学の美学教室とか専門学校のテキストでしか「商業デザイン」という概念を理解していない未熟な人々という気がする。僕が常々「プロダクト・デザイン」とか商業デザインと言っているときには、何も僕らが会社で担っている電通案件とかのサイトの設計やビジュアルだけを意味しているわけではないのであって、アダルト・サイトの騙しリンクとか、フィッシング・サイトの UI 設計(これは「商業デザイン」と言っていいかどうかは微妙だが)とか、そういう事例も当然ながら考慮している。

それゆえ、何度か書いていることだが、GMO グループはいまでこそ巨大な複合企業体だが、もともとダイヤル Q2 というシステムを使った風俗営業をやっていた、その名も interQ という会社だったから、彼らの営業スタイルには「性根」と言っていいレベルでアダルト・サイトの営業手法が染み込んでいる。それを自覚していないのは、たぶん上場以降に入社した社員だけではないだろうか。

そして、もともとアダルト・サイトを運営していたわけでなくても、営業活動や宣伝活動というものは、とりわけ成功スタイルに関しては色々な業界の手法が共通していると考えられる。よって、Amazon は風俗業界から出発した企業ではないにしても、どこかで共通の手法を選択してしまいがちなのであろう。その典型が、dark pattern を活用するという「スケベ根性」だ。たとえば、今日も僕のメール・アカウントに次のようなメールが送られてきていた。

「auの携帯決済でプライム会費を月ごとにお支払いいただいている一部のお客様につきまして、毎月1日に、プライム会員資格の更新前に、auの携帯決済の支払可能額から、月額会員費相当額が一時的に確保される場合があります。」

僕は、Amazon.co.jp の UI に騙されて、たまにプライム会員のトライアル状態に移行してしまう。サイト制作のプロである僕らですら、うっかりしていると意図しない選択をさせられてしまうのだから、上手いと言えば上手いと言っていいが、逆に言えばそれだけ巧妙に dark pattern として設計されていると言っていい。そして、UI だけではなく、法的な観点でも微妙なことをやってくる。それが上記のような事例だ。正式にプライム会員として契約してもいないのに、仮に決済して会費相当額を「確保」するなどと言っているが、要するに架空の決済を実行すると言っているわけで、これは金融商品取引法違反を問うてもいいような事案だろう。なお、この場合は僕らに対して架空の請求をしていることが問題だというだけではなく、このような架空の請求を積み上げて「売上」つまりは企業としての法定書類である計算書を作成して業績を偽装している疑いがあるということだ。

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