Scribble at 2024-10-07 20:13:42 Last modified: 2024-10-07 20:16:14

ショートカットというものは、僕らが Microsoft や Apple あるいは Linux を使っていてすら、設計者の意味不明なコンセンサスに依存しているし、逆に言えば強制されているとも言える。もちろんだが、これを意図的に変更する手立てはあって、キー・マッピングのプログラムは幾つか出ているので、そういうものを利用してみることをお勧めしたい。

たとえば、コンピュータを使っている僕らは、たぶん使い始めたときから何十年が経過しても、いまだに文字列をクリップボードへコピーするときは Ctrl + c を叩き、そしてペーストするときは Ctrl + v を叩くわけだが、これは最善でもなければ何かと比べてベターな設定とすら言えない。なぜなら、プロダクト・デザインの基本である「フェイル・セーフ」という考え方に照らすと、Ctrl はともかく c と v とを押し間違えたときの影響が大きいからだ。仮に、或る画面で Ctrl + a としてテキスト全体を選択した状況で、Ctrl + v のつもりで Ctrl + c を叩いてしまった場合、あるいは Ctrl + c のつもりで Ctrl + v を叩いてしまった場合の、或る意味では由々しき結果を想像してみるとよい。流れ作業で画面をよく見ないで間違いが起きた場合の影響を考えたら、そう些末なリスクとも言えないはずである。

こういうリスクを考えたら、c と v という隣同士にまったく違う機能を割り当てるというキー・マッピングの安易さや愚劣さを指摘することは容易いと思うのだが、どういうわけか何十年も殆ど全ての OS 開発企業で、まるでアビリーンのパラドクスよろしく、たとえ変だと思う人がいても何も変えられないという状況が続くわけである。もちろんだが、そういう「人類史のスケール」で続く愚行にみなさんが付き合う義務などないし、いわんやわれわれ哲学者(しかも「人類史スケール」の真の保守を任じている者)にあってはなおさら従う道理などない。

ひとまず簡単な解決策として、多機能のマウスやトラック・ボールを使っていれば、それらのボタンにコピーやペーストの機能を割り当てるという選択ができる。特に、僕が自宅で使っている Happy Hacking Keyboard Professional 2 という、キー・トップの刻印が殆ど見えないタイプのキーボードだと、キーの位置を確かめるということに意味がなくなるので、老眼になってキー・トップの刻印が読み取れなくなると、結局は感覚的にコピーの動作をやってみて間違ったら隣を c か v だと思い直してやりなおす他になくなるので、生産性の低下は著しくなる。そして、これは僕がブラインド・タッチを正確に出来ていないという理由もあるが、しかしできないときにリカバーする UI 要素(はっきり見えるキー・トップの刻印)が存在しないということで、更に状況が悪化するわけである。プロのデザイナーとして言えば、これはプロダクト・デザインの基本を無視した製造設計であり、いくら刻印が見えないことに歪んだ虚栄心を抱く(たいていは無能な)プログラマがいようと、そんな連中の自尊心を満たすためだけにプロダクトを設計して製造するというのは、やはり実際に使ってみてユーザの一人として思うに、それは「デザイン犯罪」としか言いようがないものだと思う。この場合、こういうキーボードを製造しないことが「フール・プルーフ」というプロダクト・デザインの基本である。

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