2022年07月20日に初出の投稿

Last modified: 2022-07-20

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零次元幾何を持つ点粒子の時空上の軌跡を言う。

世界線

科学哲学者としてはもちろん、高校時代から講談社ブルーバックスを読んでいた者としては、「世界線」と言われれば、上記の図が頭に浮かぶのが当然だろう。つまり、特殊相対性理論の基本的な概念を説明するために出てくる、お馴染みのミンコフスキー空間に配置された時空点が動く軌跡のことである。しかし、このところアニメや SF では違う意味で使われているらしく、簡単に言うと多世界解釈上でそれぞれ存在している世界の時空軸(ないし、その一部である物語の経緯)を指しているらしい。今日の朝に NHK のアナウンサーが口にしていたのを見た連れ合いが、もう一般の人にも通用するのだろうかと不思議そうにしていたので、日本のウィキペディアと言えば海外のバージョンと比べてアニメと SF と風俗の記事が多いという評判らしいので、こうして調べてみたわけである。

すると、そういうサブカルでの用法は全くない。寧ろ、そういう用法では「パラレルワールド」という言葉の方がよく使われているようだ。ただし、パラレルワールドというと、いま僕らが暮らしている世界とは全く別の環境や条件をもつ状況も含まれるため、物理的にありえるとは限らない(のび太級のダメ人間がハーレムとか、宇宙の法則を無視した状況もありえる)。よって、ありえるが別の結果になっていたらそうなるであろうという状況も作品によっては登場するが、それだけには限らないわけである。とは言え、よく似ているだけで「ありえた」世界というのも、もし決定論が正しいなら何であろうと〈物理的に他ではありえない〉わけなので、結局は意味として異世界とか魔界と同じだということになってしまう。ceteris paribus として僕が女であるという違いだけしかない世界というものを想像しても、それが過去の経緯や物理的な事実から言ってあり得ないなら、それは些細な違いに見えても、僕が「善人」であるとか「宇宙の大魔王」であるといった空想と同じなのである。

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