Scribble at 2023-03-21 09:12:59 Last modified: 2023-03-21 10:43:59

traditional wet shaving の記事を続々と書いている割には、それと同時に「traditional wet shaving のブームはとっくに終わってる説」を支持しているのも変な話かもしれないが、どのみち髭剃りをやめるわけにはいかないのだから、終わってようとも何らかの用具は発売され続けるわけだし、ニッチとして器具の製造や販売が続く限りはフォロー・アップするのも一興というものであろう。まったく下らないことかもしれないが(繰り返すが、簡単に手早く髭を剃るだけなら現代のテクノロジーが生んだ5枚刃のカートリッジが効率的だし安全だ)、ニッチであることも straight razor や替刃式の直刃剃刀で髭を剃る値打ちの一つになったって構わないというくらいのつもりでいる。Rover Mini のレストア車とか、Pelikan の万年筆とか、COLNAGO のバイクとか、traditional wet shaving はそこまでの贅沢ではないにしろ、持つことだけに留まらない運転テクニックだとかペン習字の技量とか自転車の操作技術とかも追求する価値があるのと同じく、シェービングやスキン・ケアにも追求するだけの価値があると思える。

ちなみに、「終わってる説」の傍証は他にもたくさんある。たとえば、西洋剃刀や日本剃刀についての(本人たちは否定したいようだが)下らない道具自慢みたいなブログなんて、たいてい2018年前後に更新が止まっている。コロナ禍で外出する機会が減って髭を剃らなくても済むようになったとたんに、まずオンラインでブログの記事を読んだり髭剃り用品を買う人が減ったことも影響があるだろうし、そもそも当人が自宅で髭を剃らなくなったからかもしれない。でも、外出しなくなったくらいで髭を剃らなくてもいいとか、あるいは髭を剃る頻度が減ったくらいで剃刀や髭剃りについて関心がなくなってしまうなんて、結局はスキン・ケア(外出しようとしまいと、必要なものなら続けるべきだ)とか髭剃りの技巧とか、いやそれどころか剃刀についても、最初から大して関心がなかった人たちなんじゃないかと思う。

これは、いわゆる「研ぎ」についてもブログ記事や動画を調べていると言える。確かに、料亭や食事処からの発注が減って、プロの研ぎ師は事業として厳しくなったのは事実だ。動画なんて撮影してる場合じゃないという方も多かっただろう。また、理容師も客が減ったので、研ぐ時間や動画を撮影する時間が増えたと喜んでいる場合じゃないなんて店も多かったと思う。さらには、非正規雇用の若者がどんどん増えたり、おまけにインフレも重なって、髭剃りどころか趣味にお金を使うこと自体がトレンドではなくなってきているともいえる。まさしく贅沢などしていられない。それゆえ、西洋剃刀を天然砥石で研ぐ動画よりも Schick のカートリッジをジーンズで研いで長持ちさせるなんて動画の方が多くの視聴者を獲得するわけである。僕は、別の記事や落書きでは「TikTok でチンコでも出してろ」と若造の YouTuber を侮蔑しているけれど、彼らが置かれている境遇や状況を鼻で笑うつもりは全くない。

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