Scribble at 2023-06-14 18:23:32 Last modified: unmodified
正直、いまどきメールのホスティング・サービスで1,000万のユーザを抱えるとは驚きだし、たいしたものだと思う。僕は10年くらい前から幾つかのメディアで軽いジャブみたいな攻撃として繰り出されている、「メールはオワコンのテクノロジーだ。ぼくたちクールな Z 世代はチャットと Mastodon だけあればいい」みたいな話を信じていない。よって、Tutanota が事業として成立していることを、ひとまずは「良い事」だと思う。メールとチャットとの比較は、コンピュータ・サイエンスのテクニカルな議論としても、それからライフ・スタイルやコミュニケーションや情報管理あるいはセキュリティの観点から言っても、優劣を簡単に断定できるようなものではない。そして、少なくとも「チャットが次世代のコミュニケーション・ツール」だなんて話の大半は、デジタル・ネイティブにまつわる話と同じで、単なる業界人や業界ライターどもの裸踊りであり、マーケティングの話だとしか思えないわけである。
このメールという通信方式なり情報の管理方法については、もう少し色々な観点から(それこそ、主人が大アリクイに食べられたかわいそうな未亡人の話も含めて)調べたり考えたり議論できることがたくさんあるのに、日本の IT に関連するライターとか研究者というのは、全く興味すらない様子である。もちろん、彼らの 99.99% が MTA の仕様や RFC の読み方すら知らない素人であって、コタツ記事を執筆なさる大先生でしかないのは周知の事実だろうが、いかにバカでも 0.01% くらいはまともな人材がいよう。でも、そういう人材は他の話題にも関心があって忙しいのかもしれない。すると、残ったバカの中からオライリーや翔泳社や日経BPなどで本を書いたり、あるいは『情報処理』を始めとする学会誌に寄稿できる人材に期待する他にないのだろうか。
・・・いやぁ、アマゾンで洋書の新刊を探す方が速いし的確かもしれんな。