Scribble at 2022-02-01 12:22:53 Last modified: 2022-02-01 14:40:04

マイクロソフトや Apple と、アマゾンや Google との明確な違いと言えば、前者はお金を払ってる人からの収益をベースにしていて、後者は基本的にサービスを無料で使う貧乏人のプライバシー情報や "long tail" と呼ばれたクレバーな在庫管理に支えられて小銭を掻き集めて上場した会社ということだ。よって、マイクロソフトが Office Suite を無料版のウェブ・アプリケーションとして提供したり、逆に YouTube がアダルト・サイト並みに情報商材や出会い系の広告だらけになってプレミアムのユーザしか相手にしなくなるというのは、シェアとか利用者層を拡大する「成長戦略」としては仕方のないところだと思うが、僕には自殺行為だとしか思えない。

たとえばオフィス・アプリケーションを考えてみると、LibreOffice や OpenOffice といった MS Office に互換性をもつと自称しているアプリケーションが、全くレイアウトや印刷設定などで互換性を破壊してしまう欠陥品であることは、この手のアプリケーションを「経費節減対策」として導入しようとしたサラリーマンならみんな知ってるだろう。僕が自宅で使っている LibreOffice は、会社で MS Office を使って作成した Excel や PowerPoint や Word ファイルを開くと、それらのレイアウトをことごとく破壊してしまう。なので、僕は自宅で業務用の Office Suite 関連ファイルを編集するときは、しかもリモート・ワークが当たり前になった2年前からは、必ずブラウザ版の Microsoft Office(これですらスタンドアロン版とは正確な互換性がないのだが)を使っている。こういう事実でもわかるように、マイクロソフトは有料版の Office Suite を提供し続けても全く問題ない。無料版などばらまいて無理にシェアを拡大する必要なんてないのだ。就職したければ、Office Suite の使い方くらい、再就職を希望する年寄りや新卒採用を目指す学生は Office 365 のライセンス費用くらい捻出して習得しておくべきである。そして、その費用が払えない人々に公的な補助をあてがうのが適切だと思う。プロダクト供給側に「一般市民用」と「下層市民用」など用意させるべきではないのだ。

また、このところ至る所で文句が聞かれる YouTube にしても、プレミアム版をもうける一方で、無償で利用するユーザにはありとあらゆる陰謀論や情報商材詐欺や出会い系やクズみたいな健康食品の広告をつかませる。それこそ広告の手法としても商材としても、大手の広告代理店が裸足で逃げ出すような犯罪すれすれの広告が5分ごとに動画をカットして現れるのだから、そら違法だろうと動画のダウンローダーを使うなと言うほうが無理だ。そして、ここ最近のトレンドは直に動画をダウンロードできるデスクトップ・アプリケーションを使うのではなく、YouTube の URL をフォームに貼り付けて MP4 などに変換した動画ファイルを YouTube からではなく変換サービスのサイトからダウンロードするという体裁で脱法的なことをやる。せっかくブロードバンド接続が普及してきて、わざわざローカルにダウンロードしなくてもストリーミングだけで多くのコンテンツを楽しめるという状況になってきたのに、また人々はせっせとファイルをダウンロードして、オフラインでスマートフォンなどの MP3 を聴いていたりするわけである。もちろん、クズみたいな広告なんて全く無関係だ。こうなると YouTube は広告収入に期待できなくなって、プレミアムの収益しか当てにできなくなる。収益源となる顧客を増やそうとして、却って減ってしまうことになるだろう。

  1. もっと新しいノート <<
  2. >> もっと古いノート

冒頭に戻る


※ 以下の SNS 共有ボタンは JavaScript を使っておらず、ボタンを押すまでは SNS サイトと全く通信しません。

Twitter Facebook