Scribble at 2023-05-11 19:52:39 Last modified: unmodified

僕はかなり前から、ウェブ・ページの最上部にあるヘッダーへ薄く並べられたグローバル・メニューや、あるいは英語圏で "utility" と呼ばれているボタン類のナヴィゲーション要素は、一般論として言われているほど効果的なコンテンツではないと思っている。厳密に検証したことはないのだが、その理由は僕自身の観察という経験にもとづいている。それは、他人にブラウザで何か作業してもらう様子を眺めていると、大多数の人たちが初めて利用するウェブサイトにアクセスしてページが表示されると、なかば反射的に下へスクロールしようとするという挙動を見せるからだ。そして、Google を始めとする検索エンジンが最上位に広告しか置かなくなった最近では、会社で他の人たちの様子を後ろから眺めているときにも、そういう反射的な動作をする人が更に増えているように見受ける。つまり、サイトの最上位にロゴが表示されていることは誰でも知っていて、そこに違和感のないロゴがあることさえチラッと見て分かれば、それ以外は広告か無関係な宣伝のボタンや問い合わせフォームへのリンクだと思って無視するのである。

試しに ChatGPT に "Do website visitors look at the header to use global menu and buttons when they visit a website at the first time?" と質問してみると、"According to web search results, a study by Top Design Firms found that 38% of consumers look at a page's navigational links and layout when looking at a site for the first time." と返答するわけだが、その詳しい調査結果なるものを見てみると、"38% of people visiting a website for the first time look at the layout or navigational links on a page. If the layout is confusing or the navigation menu is hard to find, then visitors may leave your website." という話でしかない。つまり、ビジターの約4割は「ナヴィゲーション要素を探す」ということが言えるだけであって、ヘッダにグローバル・メニューがあろうとなかろうと関係がないのである。ヘッダに並んでいることが多いからページの上部を眺める人がいるのは事実だろう。でも、別にそこになくても更に分かりやすいところにあれば、その方が便利なのではなかろうか。

なるほど、ヘッダーにナヴィゲーション要素が多いいまとなっては、逆にそこへ置かないことこそビジターを混乱させかねないとも言える。しかし、最初にヘッダーから見るというならともかく、そうでないならヘッダーを眺めるよりも先にナヴィゲーション要素を見つけてもらえばいいわけである。そして、当たり前だが幾つかのサイトでは、論理的な構造としての「ヘッダー」ではあっても、プレゼンテーションとしてはページの上部に配置せずにサイド・バーと同じく側面にナヴィゲーション要素を配置して、左上にあることが多いロゴを眺めたユーザが視線を落とそうとするときに、自然に目に入るようにしているわけである。ブログの多くが、そういうレイアウトを採用しているのはご承知だろう。それらも HTML 要素としては header 要素だが、もちろんページの上部にスタイルシートで配置しなくてはいけないという必然性はない。

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