Scribble at 2023-02-13 10:21:40 Last modified: unmodified

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『理容史 古代から現代に至るまでの理容のすべて』(全国理容生活衛生同業組合連合会、2021)

大阪市立図書館で検索して見つけた一冊である。全国理容生活衛生同業組合連合会(正式名称がこれらしいので、法人ではないのだろうか)が発行した非売品の書籍らしいが、全国理容生活衛生同業組合連合会の公式サイトにすら告知や紹介の記事が一片たりとも存在しないのは奇妙という他にない。実際に図書館で書庫から出てきた書籍を手にして驚いたのだが、A4判という大きな判型で総カラー印刷の豪華な出版物である。『理美容ニュース』というブログの記事によると、2020年9月に制作が決まった時点では『理容歴史大全集』というタイトルだったようだ。制作予算は984万円とあって、これだけの豪華な本であれば納得できる。ただ、それら予算や内容を決めた全国理容生活衛生同業組合連合会の理事会の議事録は簡単に読めるものではないし、関係者の情報も公表されていないので、何部が制作されて配布されたのかは不明である。とは言え僕のような部外者が公立の図書館から借りて読めるし、もちろん国立国会図書館にも収められて書誌情報が検索できているため、最低でも各都道府県の図書館には収められていることだろう。

本書は、全国理容生活衛生同業組合連合会が制作し編集した著作物であり、内容については理容業界の内部資料にもとづく個所は価値がある。歴史的な記述の多くは、いわゆるウィキペディアでの「独自研究」と言うべきものであり、歴史学者の検証や査読などが欠落しているため、参考ていどに読み流した方がよい。しかし、この中で目についたのは日本の「理容技術の祖」とされる斎藤隆一(1884-1972)氏の著作である。改題されて現在も販売されている著作もあるが、肝心の『レーザー技術読本』は古書店のサイトでも見つからない。全国理容生活衛生同業組合連合会は代々木の駅前にあるらしいが、会社の東京事務所が代々木にあったときは剃刀に何の関心もなかったので、いまとなっては残念だ。

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