2018年09月07日に初出の投稿

Last modified: 2018-09-07

【3分間耐久】JR東日本 駅改札盲導鈴(チャイム)

昨日は久しぶりに土佐堀通を歩いた(実は「通」に送り仮名を付けない表記には違和感がある)。土佐堀通をどこまで歩くかは色々と経路があって、エル・おおさか府立労働センターの南館へ折れることも多い。そして、このエル・おおさか府立労働センターの南館の入り口付近にある自販機で飲み物を買って飲むことがある。昨日もそうして休憩していたら、「チーン、トーン」という音が聞こえる。そういえば、駅の改札とか他の場所でも聞いたことのある音だ。ずっと耳を傾けていると、何かに引きずり込まれるような恐怖を覚えたので、さっさと休憩を終えて帰路へ戻ることとした。子供の頃に何かあったのだろうか、それほど強くはないものの、ずっと聴いていると強迫観念のようなものがふつふつと沸き起こって来る。

帰宅して調べると、あの音は「盲導鈴(もうどうりん)」あるいは「電子チャイム」という機器から出ている。意味もそのままで、視覚障碍者を誘導するための「音印」として機能する機器から発せられている音だ。機器を開発・製造・販売しているメーカーのサイトを見ると、「高齢者・障害者配慮設計指針−公共空間に設置する移動支援用音案内」(JIS T 0902:2014)として既に工業規格となっている。「移動支援用音案内」とは、これまた厳めしい名称だ。そして、規格書で分かったことだが、この移動支援用音案内は視覚障碍者だけではなく、高齢者の注意を喚起するためにも使われるようだ。なるほど、高齢者には「こっちだよ」と声をかけたりしないと、施設の中で向きが分からなくなっている人がいたりするものだ。そして、音(特に規格で言う「非音声案内のチャイム音」)については、色々と規定されているのだが、要点としては周囲で自然に聞こえる自然音とは明確に「違う音」として聞こえなくてはいけないということだ。したがって、ああした音はわざと人工的、機械的、定常的な音になっているのだろう。

そして、音量について規格を見ると「周囲の暗騒音レベルに対して,移動支援用音案内が 10 dB 以上大きくなければならない」とある。「暗騒音」とは、ここでは移動支援用音案内の機器が出す音を除く周囲の全ての音だ。つまり機器から発する以外の全ての音を合わせたデシベル数よりも大きな音量を出せなくてはいけないということである。したがって、周囲の雑音が大きい車通りに面したエントランスでは、当然のことだが視覚障碍者に聞こえるように大きな音を出すようになっていて、それなりに大きな音が聞こえるのである。もちろん、それだけ大きな音を出すのだから、近隣で生活する人々から苦情が出ることもあるし、実際に2015年に開校した北海道札幌視覚支援学校で設置していた機器の音へ近くの住民からクレームが出たという事例があったのは、少し調べると分かるだろう。周囲の音よりも相対的に大きな音を出さなければ役に立たないのだから、その周辺で最も大きな音がするように鳴っていて目立つ・・・というか「聞こえ立つ」と言った方がいいのか、ともかく一番大きな音がするのは避けられない。したがって、口先で社会的な弱者を擁護するのは簡単だが、幾らでも大きな音を出してもいいというわけではあるまい。はっきり言って、この機器が出している音も「騒音」であることに変わりはないのである。

Togetter などでは「建設的な意見」とやらを調べもせずに大勢が提案しているようだが、もちろん色々な案は既にあるし、商品化もされている。特定の端末を持った視覚障碍者が近づいたときだけ(あるいは専用の機器を持っていなくても設定されたエリアで何かを感知したときには)音を発するような遠隔受信機やセンサーの付いた機器は既に何年も前から販売されているし、音声が特定の方向にだけ届くようになっている超指向性(パラメトリック)スピーカーなんて半世紀前からある。しかし、問題はそういう機器が既存の製品に比べて高額になるということである(三菱電機エンジニアリングのパラメトリック・スピーカーだと、周辺機器を合わせてスピーカーだけで一式 140 万円になる。これに対して、スピーカー内蔵式の電子チャイム機器は一式 10 万円以下だ)。もう少しコストを下げられるようにしたスピーカーで何とか対応できれば良いだろうから、公共交通機関で設置する場合は、乗車料金に一律で10円ていど上乗せしても構わないと思うが(定期代は除外すれば既存の利用客の大半からは文句が出ないだろう)、学校や公共施設の場合は行政の補助が必要だろう。

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