Scribble at 2022-07-31 00:51:13 Last modified: unmodified

Keepass のデータベース・ファイルをバックアップするのに幾つかのクラウド・ストレージを使っている話は何度か書いた。とは言え、最近はバックアップの頻度が下がっている。理由の一つは、データベースそのものを更新する頻度が下がっているからだ。新しいサービスに登録したり、パスワードの更新をしたりという頻度が下がっている。その事情は、皮肉なことだが MFA/2FA を利用しているからだ。パスワードを更新しなくても、OTP こそが毎回のログインで更新されるパスワードであるという感覚がある。もちろん、これは良くない傾向ではある。当サイトでも「パスワードに『コア』となる文字列を設定する管理策について」というページを公開しているとおり、パスワードの一部だけを更新のたびに入れ替えるというのは、その規則性があればなおさら脆弱である。パスワードの本体を更新しないで、OTP だけを実質的な入れ替え対象のように扱っていれば、OTP が抜かれると終わりである。実際、OTP はキャンペーンを張っている人々が言うほど強固な仕組みではない。

そんなわけで、再びパスワードは丁寧に管理しつつ(もちろん「定期的な」更新なんてしない)、Keepass のデータベース・ファイルもバックアップしていかないといけない。とはいえ、ご承知のとおり Amazon Drive が2023年にサービスを終了するなどの淘汰がそろそろ始まっているので、重要なファイルを奪われたまま知らぬあいだにサービスが終了していたというのでは困る。よって、クラウド・ストレージも厳選して3つくらいに留めておいた方がよさそうだ。

そこで、会社では Dropbox を使っていて、プライベートでは Google One を使っているので、あともう一つを選んでおけばいいだろう。大手の企業が使っている Box も一つの候補なのだが、改めて Box のサービス内容を見ると、月額1,200円という個人用途のプランでストレージの容量が 100 GB というのは、ちょっと意外だった。データベース・ファイルは容量が 10MB もないし、実は1年おきにクラウド・ストレージからは削除しているため、最大でも12個、つまり1年間で 120 MB ていどしか容量を使わない。そのため、あまりサービスの内容を比較しなおしてはいなかった。でも、使い始めた頃はもう少し容量が多かった筈だと思ったのだけれど、100GB というのはちょっと少ない。

・Dropbox Plus:月額払いで1,500円、容量 2 TB

・Google One:月額払いで1,300円、容量 2 TB

・Box:月額払いで1,200円、容量 100 GB

・OneDrive (Microsoft 365):月額払いで1,284円、容量 1 TB

・iCloud+:月額払いで1,300円、2 TB

こんなところだ。本当のところ、専業の会社は競争に負けたら、その時点でサービスが続けられなくなる可能性が高いため、かなりリスキーな気はする。でも、即座に停止するわけでもないし、他のサービスへ移設する猶予はあるだろう(とはいえ、ファイルが多いとえらいことになるが)。これらの中で、既に選んだ Dropbox と Google One を除くと、専業でないのは OneDrive と iCloud だ。でも、iCloud が実質的に Google Drive の又貸しであることは有名なので、これはあまり選ぶ意味がない。そして、もう比較で明らかなように Box はストレージの容量が極端に少なくなっている。いまどき 100 GB なんて個人の用途ですら動画や写真で1ヵ月もせずに埋まってしまうのではないか。ぶっちゃけ 100 GB のバックアップていどなら、2,000円出して USB メモリを買ったり、月額1,100円でヘテムルのサーバ(500 GB)を借りてファイルをアップロードする方が安上がりだ。

でも、Box のサービスが酷いかどうかは Box がどんな会社を志向しているかによる。もし彼らが個人ユースのサービスを展開したいなら、もちろん競合と同じ価格で 1/10 以下のストレージ容量というのは論外だ。しかし、実は Box の場合はビジネス用途で契約すると、月額1,800円でストレージ容量が「無制限」なのである。もちろん、これは上限を設定しないという意味であって、最初は 1TB とかに設定されていて、容量を増やしてもらうリクエストを運営側に出すといった手続きが必要だろう(ビジネス用途で使っている Dropbox は、こういう手続きが必要だ)。なので、このサービス内容を見ると、Box は個人ユース向けのビジネスは消極的であり、そのこと自体に良いも悪いもない。実際、ちゃんとお金を払ってくれる大企業だけを相手にしていれば事業として成立し、継続性もあるというなら、個人の顧客を切り捨てても大したことはない。

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