Scribble at 2024-07-27 21:09:42 Last modified: 2024-07-28 10:19:35
NHK の19時台のニューズ番組を観ていると、番組が終わる最後のシーンで画面に "Seize the day for the future" というフレーズが表示されていることに気付いた。最近の流行語を使うなら、
「はて?」
といった印象を受ける。ふつう、"seize" というのは「強奪する」とか「病が襲う」とか悪い意味で使うことが多いので、改めて辞書で調べ直してみると、なるほど「機会をとらえる」という意味もあるようだ。実際、"carpe diem, seize the day" という慣用句があるらしく(「その日をつかめ」という意味で、前半のラテン語と後半の英語は同じ意味である)、これを意訳するなら、それこそ「やるなら、いまでしょ!」というわけだ。
ただし、NHK の画面に記載されている表現は良くないと思う。なぜなら、慣用句というものは単独のフレーズとして使うことに意味合いを強めたり目立たせる効果があるからだ。したがって、慣用句に "for the future" なんていう語句をつなげて、作文した当人は「明日のために今日を大切に生きよう」みたいな文科省っぽい発想で気の利いた表現にしたつもりなのだろうが、これは日本語に置き換えてみればおかしいと分かるはずだ。たとえば、「雀の涙」という慣用句を使って「二羽の雀の涙」などと言う人はいないし、「水を差す」という慣用句を使って「冷えた水を差す」などと言う人もいないわけである。