Scribble at 2023-03-13 12:52:25 Last modified: 2023-03-14 19:07:27

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マスタリングCsh - サタデー・ナイト・スクリプト

神山文雄氏の『マスタリングCsh - サタデー・ナイト・スクリプト』という奇妙な本のサポート・ページである。というか、1998年に公開されたらしく、既に20年以上も前のページらしい。よって、もともとコードのサンプルは、本文で紹介されていた akmac.gr.jp というドメインのサイトが消失しており(ドメインそのものも既にない)、このページを検索して見つける他にない。この本の書誌情報なり商品紹介のページは、翔泳社のサイトでは https://www.shoeisha.co.jp/book/detail/9784881357118 になっているが、このページは新しく作り直したページであり、冒頭のページへリンクされていない。

本書は、ディスコのノリでシェル・スクリプトを扱うという、90年代の終わりに書かれたとは思えない(1970年代か、せめて1980年代ならともかく)アナクロな感覚の入門書ではあるが、それなりに当時のマニアらしく丁寧に書かれた(というか無駄に細かいことが書いてあるという意味でもあるが)良書ではあろう。昨今のタイパでざくざくと複数の言語を習得しては、ロクでもないコードばかり書いてるガキには耐えられない異質さだと思う。でも、暇つぶしだと思って読めばいいのではないか。どのみち今から csh / tcsh を習得して仕事で新しく何かしようなんて人は、ガキだろとロートルだろうとさすがにいまい。

それから、他の C シェルの本にない大きな特徴として、tcl/tk を利用したグラフィカルなソフトウェアを csh のスクリプトと組み合わせてみるという変なアプローチを採用していることだ。なので、本書の4割くらいが tcl/tk の解説だったりする。そして、著者には申し訳ないが僕は tcl/tk で作成された GUI はダサくて大嫌いなので(もちろん Java で作った GUI も死ぬほどダサい。そもそもカラー・スキームが紫とかありえんだろう)、どういう環境を構築しても関わりたくない。なので、本書でもここを後学のためだとしてすら通読するのはお断りしたいわけである。でも、興味がある方には類書にない特徴でもあるから、読んでないが他に類例がないことは知ってるので、皮肉なことだが強くお勧めできる。

それと、本書は大きく言って三部構成なのだが、最後の "World-Party Edition" ではウェブ・コンテンツをレスポンスする SHTML の処理系として csh のシェル・スクリプトを実装するという、これまた奇妙だが楽しい事例が展開される。よって、ここと合わせて7割前後が応用の話であるから、csh のシェル・スクリプトは冒頭の3割ていどで解説が終わる。そして、他のシェル・スクリプトやシェルの解説書を読んでいる方であればお気づきだと思うが、実はインタラクティブなシェルの解説やシェル・スクリプトの解説と称していても、その半分近くはコマンド(ビルト・インではない)の解説だったりするのだ。

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