Scribble at 2023-05-23 23:45:17 Last modified: 2023-05-23 23:45:41

コンビニエンス・ストアの店員っていうのは、年齢や性別、それから店の場所に関係なく、たいていは半年くらいでいなくなって入れ替わっているような気がする。なぜなら、僕は最近の20年くらいに渡ってコンビニエンス・ストアを毎日のように利用してきたわけではないので、半年くらい通わないと、コンビニエンス・ストアに限った話でもなく、店員の風貌なんて覚えられないからだ。正直、あまり他人に興味はないので、積極的に顔を見たり覚えようとしていないため、なおさら人の顔や姿は記憶に留まるのが遅い。そしてコンビニエンス・ストアの従業員に限って言うと、記憶に留まっている店員は非常に少ない。自宅の周辺には4店舗くらいあるが、さすがに利用する頻度が多い店舗の店員は記憶に残っている人がいるけれど、それでも一人だけだ。その人は、僕の自宅に最も近い場所にあったコンビニエンス・ストアの店員でもあったから、たぶん10年くらいはコンビニエンス・ストアで働いているのだろう。それだけ長く働いていて僕もたびたび見かけていれば、大学院どころか大学に入ったことが不思議なほどと言えるくらい僕の記憶力がいかに貧弱でも、さすがに覚えられるというものだ。でも、たぶん他の店員は全く記憶にない。なので、短期間で辞めて近くの別の店で働いているとしても、気づかない。

このようなわけなので、長く働いている店員は客の話題にも登りやすくなる。5年ほど前に会社が入居していたビルの1階にはファミリーマートがあって、そこの店員は長く働いていたせいか、会社の懇親会や忘年会でも話題になったことがある。名前まで憶えられていたようだ。しかし、そういう人は珍しい。しかも学生の年齢だと、たいていは大学や専門学校の学生や生徒として暮らししているあいだの、短いバイトとして働いているだけだったりするから、何度か必要に応じて戻ってきたりすることはあっても、長年にわたって働くというケースは少ない。それに、就職すれば(それが本来は大多数の学生の目標だろう)、そもそもアルバイトする必要もなくなるのだから。

そういうわけで、僕もアルバイトしていた頃は似たようなものだった。そのコンビニエンス・ストアで販売しているサンドウィッチやおにぎりの包装紙を製造している平野区の大阪包装社という工場で働いていたときも、冬のあいだだけ短期間で働いていた。でも、そこでは別々の年に二回ほど採用してもらったことがあったのだが(二回目は経験者ということで、殆ど面接もなしに採用された)、合計して1ヵ月も働いていない筈なのに、かなり色々な記憶が残っている。たとえば、時給をわざわざ上げてもらうくらい機械操作が上達していたので、社員さんに「大学院なんて行かない方がいい。うちに就職しないか」と誘われたこともあった。そして、同時期に働いていた中国人の留学生が、「日本の『中華料理』は甘くて酷い。本当の四川料理は、こんな辛さじゃない」と嘆いていたのも覚えている。それから自宅(当時は、いま父親が住んでいる実家に僕も住んでいた)からロード・レーサーで通勤する途中の、平野区という地域の茫漠とした印象も記憶にある。たぶん、公園や緑地が殆どなかったからだろう。このあたりには、僕の母校の姉妹校があって、たしか中学時代に一度だけ行ったことがあるけれど、その時の印象と殆ど同じだった。大阪市内なのに見上げるような高さのビルが殆どない。もちろん、それは良し悪しの問題ではないけれど、陸の砂漠という印象が残ったのは事実だ。

他にも、働いていたのは冬だったのだが、ちょうど GLAY の "However" が大ヒットした頃(1997年)だ。とにかく、FM だろうと AM だろうと有線だろうと、何か音楽の聴こえる番組にチューニングしたりチャネルを替えたら、ひっきりなしに "However" が流れていた時代である。工場では、たぶん FM の番組を流しっぱなしにしていたのだろうと思う。なぜなら、番組のラジオ・パーソナリティがくどいほど「ヘビー・ローテーション」という言葉を連呼していたからである。AM の番組や有線では言わないだろう。1997年と言えば、修士だった頃である。あの頃も実家に生活費を渡したり本を買うために、あれやこれやとアルバイトをしていた時期だった。居酒屋のホール係とか、塾の講師だとか、パン工場の包装係とか、ヨドコウで物置の組み立てもやっていたことがある。働いている側から見れば、そうして仕事なり同僚なりの色々な記憶が残っているのだけれど、確かに客だとか生徒の記憶は、こっち側から見ても覚えてないな。

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