Scribble at 2025-11-19 10:49:49 Last modified: unmodified
僕は学部が法学部法律学科だったし、企業の部門長として会社法や労働法などにも少しは関心をもっているという事情があって、六法全書を持っている。でも、多くの家庭では六法全書なんて置いてないだろうし、なんなら国語辞典すら置いてない家庭も多いだろう。いまでは、必要ならスマートフォンのアプリとして辞書を使えるし、なんなら「チャッピー」に聞けば済むというわけでもある。
なので、書籍としての六法全書をあらゆる家庭で常備する必要などないのだが、法曹でもない身分の者として、仕事なり好奇心なりという興味があって必要だというなら、書籍の六法全書を手元に置いてもいいとは思う。
これまでに、法学部の学生でもあったというだけの理由ではなく、他にも事情や動機があって幾つかの六法全書を手にしてきたのだが、収録するべき法令の数が多く、また収録するべき法令の数を簡単には減らせないどころか、逆に増えていく傾向にもあるため、どうしても六法全書は大部の書籍となるし、判型も A5 版が圧倒的に多く親しまれているため、文字のサイズも小さくならざるをえない。これは、もちろん僕らのように老眼鏡を使うような者にとっては辛いのだが(老眼鏡をかけたからといって目が疲れなくなるわけでもない)、仕方のないことであろう。収録する法令の数を絞っている「学習用」とか「司法試験用」の六法全書はあるが、これらは判例が割愛されていて、まず読み物としての興味が削がれてしまうので、一般人が使う書籍としてはお勧めできない。また、文庫サイズで憲法や刑法など極めて限られた法令だけを収録している「ハンディ」な六法全書もあるが、これも同じ理由でお勧めしない。それどころか、この手の六法全書は、具体例を出すのは気の毒だが、三省堂の『スマート六法』(三省堂編纂所/編、2024)のように、印刷の品質が非常に悪い(全てのページで文字がかすれている)。こういう、おそらく法曹関係者や司法試験の受験生は手にしないだろうからという甘えがあるのか、いい加減な作りの書籍を買うのは、浪費以外の何ものでもない(書店に並んでいる全ての「個体」で印刷の品質を確認したから、『スマート六法』はプロダクトとして最初からこういう品質で印刷するよう指示されているのだろう)。
それから、法曹ではない一般家庭に置く六法全書について考えると、もちろん法令はどんどん改訂・改正されていくわけなので、いくら法曹ではないと言っても、数十年前の六法全書を開いて何事かを知ったり判断することは危険であろう。確かに、憲法のように条文が(たぶん我々が生きているあいだは)変わらないと思えるような法令もあるが、会社法のように細かいところがどんどん変わる法令もあるし、個人情報保護法や介護保険法のように3年おきに見直して改定することが最初から決められている法令もある。また、時代に適合するためとして特別法が付け加わることもあるから、それらの知識が必要であれば、手元にある六法全書だけ開いていればいいというわけにもいかないだろう。
もちろん、これは当人が法令の内容が変わることでどれくらい仕事や生活に影響を受けるかによって決めることだろう。会社で内部監査を担当しているなら、会社法の改正を常にフォロー・アップすることが求められている職務であろうから、六法全書が改定されるたびに買い求めるのは当然として、それ以外にも法令の改正について情報源をフォローしておくべきである。しかし、日本の法制度において「会社」とは何であるのかを漠然と知っていればいいというていどの知識であれば、法令の詳細が変わっても本質的に誤解が生じることはないであろうから、そのためだけに六法全書を毎年のように買い替える必要はない(もちろん、個人の趣味として最新の六法全書を手元に常備したい方は好きに買い替えたらいい)。
おおよそで言えば、法令の改正そのものが大きな話題となるときに買い替えたらよいのだろうと思う。ただ、民法でも会社法でも改正が大きな話題になっているとしても、それが「どこで大きな話題になっているのか」を決めておかないと、プロパーが針小棒大に騒いでいるだけのことで新しい本を買わされる羽目になる。かといって、法令のことなど理解しようともしないマスコミ関係者の好奇心だけに依存していては、都内の出版・報道・マスコミ各社の無知無教養な連中と一緒に文化的な下方圧力で馬鹿なままに留まるだけである。したがって、こういうことは独立したソースによって判断するのが適切であり、自分の仕事内容や興味に応じて、法令の改正によってどういうインパクトがあるのかを、敢えて生成 AI に判断させるのがよいだろう。こういうことは、逆にスケベ根性がある人間に判断させてはいけないのである。