Scribble at 2025-11-19 20:09:20 Last modified: 2025-11-21 16:01:26

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全く意味のつながりのない言葉が隣り合う従来の国語辞典と違い、類似した意味の言葉をひとまとめにした意味別で引く国語辞典。『類語国語辞典』に約2000語を追加した、表現したい言葉を探すのに最適な辞典。

『類語国語辞典』(大野 晋、浜西正人/著、角川書店、1985)

高校時代に買って、何くれとなく動機を抱いては手元で開いていた辞書の一つだった。雑学と言ってもいいような興味で、一つの項目から類語なり派生語をどんどん眺めていくという暇潰しも面白いもので、いまなら電子辞書で関連語のリンクを辿れば同じように他の言葉を眺められるのだろう。でも、電子辞書のユーザ・インターフェイスには一覧性が乏しいという欠点があり、紙面に並んでいる他の言葉を雑然と眺めるという風情がない。結局、知性なり教養の一部はそうやって培われるわけで、タイパだ生産性だと言っているのは、しょせん知的ブルーカラーの思考である。

ちなみにだが、この辞書は実は当家に二冊あって、一冊は連れ合いが所持している。たいへん良い辞書だと言って僕が勧めたからだ。そちらは古本ではあったが、僕の使っている辞書よりも美麗である。使っていないということだが、僕の使っている方は相当な汚れ方なので、あと何年かすれば交換してもらうかもしれない。

で、さきほど角川の類語辞典を眺めていて気づいたのだが、「管掌(かんしょう)」を文章語だと解説している。そして、用法として「事務を―する」としている。これは僕らが会社で見聞きしたり、あるいはビジネス系のメディアや雑誌記事などで見聞きする用法とは異なる。そして、次いでで書いておくと、この「管掌」という言葉は、同じく角川から出ている『必携国語辞典』には収録されておらず、岩波の国語辞典や大修館の明鏡国語辞典には「つかさどること」として名詞的な用法だけが語義に入っていた。したがって、1990年代から2000年代にかけて、「管掌」という言葉の用法なり意味合いが少し変わったのかもしれない。現在は、「個人情報保護マネジメントは情報セキュリティの管掌である」といったように、今世紀に入ってから発売された辞書で採用されている語釈と同じく、殆ど「管轄」と同義語ではないかと思える意味合いで使われることが多いからだ。

加えて「管掌」という言葉は、現在はごく当たり前に会話で使う言葉となっているので、「文章語」という分類も不適当であろう。なので、どれほど優れた辞書だと思っていても、やはり時代の変化についていけないのも事実であって、もちろんそれは是非の問題とは別なのだが、少なくとも現状のニュアンスで使っている人々との齟齬が生じるのは確かだ。そこは、「違う」という事実に気づいたものが注意しないといけない。

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