Scribble at 2023-02-16 18:31:48 Last modified: 2023-02-17 00:18:30

東京に住んでいても用事がなければ足を向けないところなんて、どれほど有名な場所でもたくさんある。たとえば僕も雑誌の編集者をやっていた頃に、六本木だ、麹町だ、目黒だと、色々なレコード会社を歩いて回って CD のジャケット写真のネガを借りて回っていたものだが、結局は2年近くを山手線の内側で歩き回った割に、一度も東京タワーへ行ったことはない。また、神保町の出版社で働いていたし、その当時は PC-9801 シリーズに入っていた『一太郎』なんかも使っていたのに、すぐ北にある秋葉原へも足を踏み入れたことは一度もなかった。いま東京に住んでいる人だって、中には渋谷へ一度も行ったことがないとか、池袋なんて10年以上も行っていないなんて人はざらにいるだろうと思う。犯罪者じゃあるまいし、色々な場所の土地勘や事情をむやみに知る必要などなければ、どれほど有名な場所でも行く必要など感じたりしないだろう。

これは、いま暮らしている大阪でも同じことだ。もう日本橋や難波なんて何年くらい行っていないだろうか。かつてはニノミヤとか Faith があった頃に日本橋へたびたび足を運んでいたものだったが、それも10年以上前に日本橋がメイド喫茶と信長書店しかないアダルト街へ変貌した頃から、全く行く理由がなくなってしまった。J&P のテクノランドくらいは残っていそうだが、あそこは上階の書籍コーナーが目当てで行っていただけで、パソコン関連の部品なんかは高いので買わなかった。

もっと前の僕が中学生の頃の話になると、それこそ1980年代前半頃というからブランクのカセット・テープだけを何種類も売ってる店があった頃から通っていた土地だけれど、もうそんな様子はかけらもない、ただのバーチャル風俗地域になってしまっているだろう。

そして、難波にしても、小学生の頃は両親と正月になると丸十で大量に寿司を食べたり、はつせでお好み焼きを食べたりしたものだが、いまでは馬鹿みたいに高いタコヤキを売るような店と、爆買い中国人や吉本の追っかけ女子中学生しかいない町になってしまったはずである。行く理由がなくなれば、どれほど有名であっても地元の人間ですら行く機会はなくなる。

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