Scribble at 2005-05-08 00:36:04 Last modified: 2022-10-03 16:40:35

本日病院へゆくまでには体調も戻ってきたのですが、やはり暫く歩くだけで頭が痛くなる。若い医者の話では、「いまの状態が続いて、顎を引けなくなったら髄膜炎の可能性があるし、視野が狭まってきたら脳に腫瘍ができている可能性があるから、安静にして自覚症状に気を付けて下さい」とのことでした。風邪は風邪のようですが、くすりを飲んで寝ていたらいいというだけで話が終わらなかったのはちょっと嫌な感じ。

というわけで、本日は家で吉田修一さんの『パーク・ライフ』を読んでみたり、ふつうの休日を過ごしました。本当は月例会議があったのですが、とても出る状態ではない。し、そのつもりもなかったし。ちなみに、『パーク・ライフ』の書評はのちほどまた公開します。

さて、気分が悪くなっていたときに PC を操作するのはもちろんしんどいことなのですが、最近使っていてときどき感じていたことが、気分の悪いときになおさら増幅して感じられるものです。そのひとつが、LiteStep で使っているポップアップ・メニューであります。0.24.7 のデフォルトで入っているテーマを自宅で使い、会社では LongHorn LS というテーマを使っています。しかし、どちらのテーマで使っていても感じていたことなのですが、とにかく右クリックに対する反応が遅い。それに、何度クリックしても反応しないことも多い。LiteStep を使い出して既に 6 年近くになりますが、最近までこんなことは感じたこともなかったのに、体調がふつうのときでもしばしばこの現象にイライラしはじめていたところです。そして、昨日は特に体調が悪かったこともあって、右クリックを繰り返してもポップアップ・メニューがなかなか出ないということにだんだん疲れてきて、それが体調を更に悪くするということにも気づきました。

また、このリスト状にずらっと出るメニューは、視線の移動が激しくて使うのが嫌になるという話を彼女から聞いていて、昨日のように体調が悪いときはそれを僕も実感しました。ふだんは慣れているせいもあって、好きな場所でメニューを出せるという利点だけでポップアップ・メニューを使っていたのでしょう。いざ目に負担がかかると感じられる体調になると、ふつうのアプリケーションのメニューを追うのにも疲れてきて、ましてやなかなか表示されないポップアップ・メニューの項目を追っていくのはかなり苦痛に感じられました。自分でメニュー項目の幅やフォントの大きさを変えているから、まだマシだったのかもしれません。デフォルトの、7pt くらいの文字でメニューを表示されたら、字面を追っていくだけで大変な負担になったことでしょう。

もちろん、ユーザビリティの観点からの話だけで済ませていてはいけません。「体調の悪いときでもメニュー項目を視認しやすいようにしよう」と言い出すデザイナーがいたら、そいつはただのデザインバカでしかない。体調の悪いときは仕事を中止するのが正しい人間の行動だからです。その会社の人間としての内規に基づいた正しい行動など、今度の JR の事故が示しているように最終的にはどうでもよいことであります。会社の内規に「災害時にはこれこれこういう行動をする」と書かれていなくても、救助活動に参加して、会社には「代わりの人を乗車させてくれ」と言えなくてはならなかった筈です(もちろんそれは自分が乗車する筈の列車の運行も大切だからであって、乗務をかなぐり捨てて救助活動するのがよいなどと、新聞記者の小僧たちのように言いたいわけではありません)。

僕らの仕事でも同じ事で、お客さんには「近日開始します。動画を200本以上も再公開します!」などと書いていても、5/6 から始めなければならない強い根拠はないのだから、体調が悪くなって業務が続行できなければ、「すいません、企画は 5/9 からにしてもらえませんでしょうか?」と言わなくてはなりません。現に、僕の場合は症状が悪化して来週まで寝込んでいたりすると、5/6 に企画をスタートさせたはいいが、サーバの DNS 切り替えに伴うコンテンツの切り替えとかプログラムの動作確認ができる人間がいなくなるため、他の会社と組んでやっている仕事の方に影響が出てしまいます。うちの場合は、JR のように代わりに乗務してくれる人、つまり僕の代わりにページをデザインしたり、宣伝用の画像を作ったり、プログラムの動作確認をしたり、サーバの設定を変更したり、.htaccess を書きかえたりする人がいないため、僕が休んでしまうと業務がそれだけ遅延することになります。したがって、僕はそういう仕事にも責任がある以上、動画を復活するのが優先か、それとも来週のサーバ移転を予定どおり進めるのが優先かと言われたら、裏方の仕事を優先すべきと考えて当然です。動画の復活など一週間遅れても、困るのは「早く始めたい」と思っている社長をこまらせるくらいで、他の誰も困りはしません。しかし、システムの移行が遅れると、クラスターを管理しているサーバ管理会社や、会員管理用システムの動作確認をしてくれる会社に迷惑がかかります。もういちど両社のスケジュールを合わせなければならず、そのあいだにも老朽化したサーバが吹っ飛ぶ危険性は残ります。

でも、ぶっちゃけ体調が悪くなってくると、そんなことは建前の理屈になるというのもまた然りです。吐いてトイレで20分ほどうずくまっては再び机に戻って「高画質動画AGAIN」だの「この機会をお見逃しなく!」だのといった文句を、リュウミンでつくろうか、それともヒラギノか、あるいはHGゴシック9Mにしようかなどと考えられるわけもない。しかし、「どうでもいい」とも思えないのが辛い。けど、すぐにまた吐きたくなる。これは、自分で判断しないとどうにもならんことです。自分で判断する力が必要です。大切です。

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