Scribble at 2022-03-03 12:00:46 Last modified: 2022-03-04 13:09:44

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サーバレス&ユーザ登録なしですぐ使える、軽快LAN用メッセンジャー

IP Messenger 開発研究室

さきほど懐かしいものを見かけた。IP Messenger という LAN 環境で使うメッセージング・ソフトだ。僕も何年か使っていた覚えがある。意味不明な、しかし目立つアイコン。軽快で扱いやすい UI。ノスタルジーはあるし、こういうシンプルな使い勝手のソフトウェアが長らく使われ続けているのは、或る意味では健全なことだとも思う。

だが、現状を顧みると会社のメッセージングはクラウド・サービスの Google Chat や ChatWork などに切り替えてしまった。更に、弊社のようにリモート・ワークが標準的な就労条件になった会社で IP Messenger を連絡用ツールとして採用するのは、今後ますます難しくなる(もちろんサーバを置くことによって IP Messenger での通信をクラウド・サービス化する方法はあるが、標準的な実装とは言えない)。「社内 LAN 環境でのメッセージング」という想定に有効性がなくなるからだ。もちろん、クラウドでの運用がディフォールトになってしまったことが「先進的」なわけでもなければ、情報セキュリティから言って強いわけでもないのは事実だが、この趨勢を覆すのは非常に難しい。そして、実際のところ社内メッセージの価値がそれほどあるのかというクールな疑問もあろう。

このたび、改めて IP Messenger をインストールしてみたのだが、設定画面で使われている奇妙な表現も含めて、メッセージングの UI については殆ど何も変わっていない。これでいて機能が少しずつ拡充されて30年近くに及ぶのだから、もちろん敬服すべきプロジェクトと言っていい。でも、僕はもう使うつもりはない。あるいは、今後の展開でメタバースに「執務室」が作成されて、従業員が自宅から会社のパソコンへリモート・デスクトップでログインしている状況を「執務室」へ再現するのがスタンダードになったら、IP Messenger を入れたデスクトップ・マシンをリモート・デスクトップで使う就労環境もありえるのだろうか(つまり、クラウド上に virtual LAN を構築するということでもある)。僕は、それは効率から言っても考えにくい。リモート・デスクトップを安定して使う環境は、会社と自宅にそれなりのスペックのマシンを配備して、従業員当人の自宅で契約しているインターネット通信もそれなりの帯域が出るプランを確保する必要があるからだ。恐らく、日本の大半の企業には、会社の福利厚生としてそこまでサポートする法的な義務も、あるいはパターナリズムとしての財務的な余裕もないだろう。正直、メタバースなんて MMORPG のネカマにその場で仕事しろと言ってるようなものだからだ。

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