Scribble at 2022-08-14 15:19:27 Last modified: unmodified

特に強い理由はなく読んできた本に書かれていたという経験だけで、僕は "syntax" を「構文論」と訳していた。関西大学では竹尾先生から「統語論」と訳すことを求められたのだが、さほど説得力のある理由がなさそうだったため、それ以降も同じように訳していたのだが、ここ最近になって改めることとした。とは言え「統語論」ではなく「統辞論」としている。

情報科学では、ご承知のとおりコンパイルの理論において「構文」という言葉は syntactic analysis (parsing) で構文解析というフェイズを表すために使われていて、lexical analysis (tokenization) というフェイズを表す字句解析とは区別される。よって、「統『語』論」という表現で "syntax" を意味するようにすると、構文に対する語という対比に引きずられて tokenization だけを意味するかのように誤解される可能性がある。これに比べれば、やや形式的な議論に依存しているかの印象を言語学のプロパーには与えるかもしれないが、「辞」という単位を使う方が適切だろうと思う。

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