Scribble at 2023-02-11 09:09:28 Last modified: 2023-02-11 09:31:54

さきほど読了した書籍のリストに『刃物雑学事典―図解・刃物のすべて』(橋本英文、講談社ブルーバックス、1986)を追加したが、剃刀だけでなく刃物全般についても、殆ど参考にならないのでお勧めしない。書名に「雑学」とあるとおり、まことに乱雑な刃物の話が並べられているだけにすぎず、冶金、切断といった物理学や材料科学の話題は顕微鏡写真や模式図が並べられているだけの雑な話があるだけだ。そして、内容の大半は刃物の分類とか、解説が全くない図表の羅列に終わっていて、ご自身が使っているスクラップ・ブックをそのまま印刷しただけではないのかと思わされる。

得てして自然科学者の文章構成力や表現力とは、編集者が未熟や無能だと殆ど是正されないため、こういうものである。書籍、なかんずく一般向けの本を書いている人物は、福岡伸一氏などを始めとして、それらの中でもマシな人物をわざわざ編集者が見つけて登用しているにすぎないか、編集者が有能で大半を代筆したり修正を指示しているわけだが、この本はいくらなんでも「雑」すぎる。剃刀や理容師についても殆ど書かれていないため、少なくとも僕の(これでも剃刀について相当に多くの分野を目配せしている自負はあるが)関心においては何の参考にもならなかった。よって、古本屋から到着して1時間で売却用の段ボールへ入れた。講談社ブルーバックスの一冊としては絶版のようだが、それもそのはずである。

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