Scribble at 2020-10-29 16:02:52 Last modified: unmodified

さきほど単語カードの話を出した。よく通学列車の中で100枚綴りの単語カード帳を片手にする高校生といったシーンが漫画でも描かれたりする。しかし、そういう高校生の部屋に単語カードがたくさん積み上げられているシーンは殆どない。これは不思議なことだ。

僕が単語カードを使って単語を覚えたのは30年近く前になる。神戸大の大学院博士課程を受験するときに、ドイツ語は基本的な3,000語くらいを覚えておこうとして(修士課程に入ってから殆どドイツ語を読まなくなったので、また忘れてしまったのである)、当時は鉄工所でアルバイトしていたため、鉄の棒に機械で穴をあけていく作業の合間に単語カードを使おうと思い立った。そして実際に表と裏にドイツ語と日本語をサインペンで書いてカードを作り始めると、当たり前のことだが一冊の単語カードでは100個くらいしか覚えられないので、どんどん単語カードを買い足してゆき、これも当たり前のことだが3,000語を覚えるのに単語カードを30個は買った筈である。単語だけを書く小さな単語カードとは言っても、30個だからそれなりの分量にはなる。家庭用の薬箱が一杯になるていどの分量が出来上がり、いわゆるエヴィングハウス曲線として知られている理屈に(知らずのうちだが)従って、1日に20個ずつ勉強して、翌日は20個のうち半分を新しい単語カードに入れ替えて順番をシャフルしていった。そして、2週間くらいすると入れ替えてしまった古いカードから再び半分を入れ替えて勉強しなおす・・・こうすると、順番をシャフルしてしまうので、最初からあるカードが最後まで残ってしまう可能性はあるから、エヴィングハウスの理屈には厳密な意味で準拠していないわけだが、ともかく忘れそうな頃に再び同じ単語を復習するということを繰り返して記憶を強化していったわけである。

実際にカードを使うとそれなりの面倒な作業を続ける必要があるし、単語カードは全数を使う(すべて使って覚える)からいいとしても、研究で使うカードは先ほど公開した落書きで指摘したように、二度とつかわないカードもたくさんありうる。それでも膨大な数を作らないと、わざわざカード式にした効用がないし、最初から効用がありそうな論点なり議論が資料から抜き出せるくらいなら、カードなど使わなくても読書ノートをとるだけでいいという話になってしまうのだ。

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