Scribble at 2023-01-11 09:00:48 Last modified: 2023-01-11 09:50:03

新型コロナウイルス感染症が蔓延して、僕の勤める会社ではリモート・ワークを導入した。これをきっかけとして、コーポレート・サイトから電話番号を削除して問合せフォームだけとしている。もともと電話というものは三つの用途だけでかかってくる。一つはサービス利用者からの問い合わせやクレーム、一つは名刺交換した相手からの電話、そしてどうでもいい営業電話だ。問い合わせに電話で応対する義務はないし、名刺交換した相手とは、リモート・ワークを導入したのと同時に全ての従業員へ貸与した業務用の携帯電話を使えばいいので、電話番号をサイトに掲載する必要は無くなったと判断したわけである。

こういう事情で、コーポレート・サイトでは問い合わせフォームだけをインバウンドとして運用している。そして、このフォームを使って送られてくる、たいていはロクでもない会社のロクでもないサービスについては、何度かご紹介したとおりだ。そして、2年くらい前から増えているのが、フォームの多重投稿である。フォームから問い合わせを受けた際は、従来と同じく窓口用のメール・アカウントにメールを送信しているのだが、それと同時に会社で導入している Google Workspace の Google Chat につくった受信用のスペースへ webhook で同じ内容を投稿するようにしてある(個人が使っている無料の Google Chat では webhook による投稿は使えない)。ここに、全く同じ内容の投稿が、もちろんほぼ全て営業目的の内容だが、何度も繰り返して投稿されることがあって・・・

そういや、自分で書いてて「投稿が投稿される」みたいな繰り返しは避けたいので、こういうときはたいてい途中から戻って「全く同じ内容の投稿が」を「全く同じ内容のメッセージが」に書き換えたり、あるいは「投稿されることがあって」を「投じられることがあって」などと書き換えるようになっていて、かえってそのせいで文章が分かりにくくなっている場合がある。「投稿」という言葉に限らず動作の結果(achivement)を表す名詞は動詞にも使えるため、「食事を食事する」とか「決着を決着させる」などと言えるわけだが、こういう繰り返しは避けるようにしなくてはいけない、それが「良い文」だと、特に英語の授業とかで教わった記憶がある。でも、無理にそういうことをやると逆に主旨が分かりにくくなる恐れはある。敢えて同じ言葉を繰り返すことで、何を言っているのか一貫性が保たれるとも言いうるわけなので、もう40年くらいこんなことを公私にわたって続けてきているのだけれど、そろそろ是非を判断しなおすべきかもしれない。小学校や中学で教えられたことなんて、指導要領から外れた内容は言うに及ばず、文科省が定めた内容ですら疑わしいことが多い。

さて、この多重投稿の原因はおおむね分かっている。フォームから送信された際に、フォームの利用者から UA の情報を取得しているのだが、多重投稿してくる相手の UA 文字列には、ほぼ100%に近い割合で "HeadlessChrome" つまりコマンドラインから実行する自動処理用のブラウザ(画面に表示しないのだから、"browser" つまり "read rapidly" する道具という言い方は変だが)が使われていることが分かった。要するにプログラムで何度も投稿しているのだ。でも、プログラムが投稿処理しているなら、なんで老人がマウスのボタンを震えながらクリックするかのように何度も投稿処理を繰り返すのだろう。恐らくは、RPA の処理に問題があるか、もしくはガラクタみたいな名簿データを使っていて、弊社のデータが重複して登録されているからかもしれない。エントリーが二つあれば、同じことを繰り返すのがロボット、もしくはロボット同然の「クラウド・ワーカー」と呼ばれる生体ソリューションだ。

ともあれ、"HeadlessChrome" による投稿は、僕の経験から言って、まず100%と言ってもいいくらい、下らない営業メールである。よって、昨年の暮れに経営会議のメンバーに通知したとおり、これを UA に含んでいる投稿者からのメッセージは、保存用(よって、ブラックホールのように破棄するわけではないが)のアカウントに飛ばして Google Chat には飛ばさないようにする予定だ(いまコーポレート・サイトを作り直しているので、すぐにではないが)。同じ営業という職能の人たちには気の毒だが、99.999% の営業メールは仕事だろうとプライベートだろうと邪魔である。この割合は、平均的に1日で30通のメールを受信するなら、新卒で入社した人が40年ほど経過して退職するまでのあいだに目を通す意味のある営業メールは5通程度という数字だ。そして、その5通を読まなかったからといって、その会社やその人物にとって重大な機会喪失やリスクがあるかといえば、それも 99.999% 以上の確度で「ない」と言える。

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