Scribble at 2021-09-12 19:58:56 Last modified: unmodified

昨日から今日にかけては、まず書名をここで紹介するのもバカバカしいような本を50ページほど読んで、これも古本屋へ送ることとした。ビジネス本の多くが碌でもない(連中が書いている)のは、もう50冊以上は読んできて分かっている。そして、国や言語の違いなど関係なしに、無能であるにも関わらず何故か本を書かせてもらっているらしい連中が、どこの国でも大量にいるという事実を改めて何度も思い知らされた。特に、ノウハウ本の大半は厳密で徹底した検証が不足していて、著者の狭い人間関係や経験や学識だけで書かれた体験談レポートの類でしかなく、試しに読んでみるということ自体が時間の浪費でしかないという結論に至った。その手の本をまともなレベルで書けるような人間なら、大学で研究職に携わっていたり、大手コンサルティング・ファームで多くの事例に応用した経験がある筈なのだ。どうして上場企業で何年と働いていたというだけの凡人や田舎の自営コンサルが、これまで誰も考えつかなかった経理の理屈だとか、これまで誰も見い出せなかったリーダーシップの本質に気づいて本を書けるのか。そんな可能性は、恐らく地球に月ほどの大きさの隕石が衝突する確率よりも低いのである。ゼロとは言わない。大学に籍を置いていなくても有能な人物はいるからだ(もちろん、僕がそうだと言いたいから留保しているわけではない)。しかし、その確率は書籍の出版という〈些末な事実〉だけでは証明できないということである。そういう胸糞の悪くなる駄本の話は、もうやめよう。そういうクズみたいな著作物でも、いちおう僕が大切な人生の一部を使って目を通したという事実だけをお知らせしておけばいい。

そして、もう一冊は『ビジョナリー・カンパニー2』である。これは、何年か前に役職者の研修で課題図書となったときに通読して、内容を丁寧に理解するために原書("Good to Great")も手に入れて一部を読み込んだ覚えがある。ただ、そのときの読後感や気になった論点は、今回のそれらと大して変わっていなかった。以前の感想は、もちろん研修のレポートで書いた内容と比較している。それはつまり、著者らはリーダーの役割を過大評価しないようにデータを評価したり分析していたが、それでもリーダーに認められる幾つかの特徴があり、それを「レベル5」のリーダーシップとしてまとめている。それはそれで分かるのだが、しかし great な企業から括り出された特徴にしても、実際のところ経営者でなければ決めたり命令したり実行できないことばかりだ。たとえば、自社の最も強い事業やコンピテンシーに執着するというハリネズミの概念というのは、トップ・マネジメントが自覚して経営に取り組まない限り、一般社員が自覚するだけでは意味がない。リーダーシップの話をしていなくても、他の特徴だって経営者の話をしていることに変わりはないのである。そういうわけで、本書も(古本屋に送ろうとは思わないが)スキップする。

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