Scribble at 2022-05-15 11:26:41 Last modified: 2022-05-15 12:19:54

Google が発表した Monarch という時系列データベースについて調べていたとき、Thanos というシステムでデータベースを時系列的に制御するというアイデアがあることを知った。これは Prometheus という監視システムと組み合わせて使うようになっている Thanos を、既存の MySQL や SQLite のようなデータベースに時系列データをストアするインターフェイスとして使おうという話である。Thanos は "sidecar" として Prometheus がリモート・サーバから取得した監視データをデータベースに接続するプロキシとしても使えるし、複数の Prometheus インスタンスをまとめる管理システムにもなる。先日、会社で使っていた Zabbix 専用のサーバを撤去して、次にどうやって監視システムを構築するか検討しているところなので、Thenos + Prometheus を使ってみることも考慮したい。

本来ならリモート・サーバの監視を止めて「次の候補」を検討するなんて中断が許されるわけないのだが、自社の案件で動かすサーバの話ではないから心配ない。それに、受託のサーバはいくつかあるにはあるが、それらは AWS で動いているので、そちらは AWS のコンポーネントとして強力な監視サービスが既にいくつもある（コスト計算なども含めて）。また、会社のコーポレート・サイトについては OSSEC などの IDE によるアクティブ・レスポンスの通知が取得できていればいいだろう。現在、コーポレート・サイトはサーバへのアクセスもコンテンツの編集も、あるいはビジュアル・デザインに至るまで僕が単独で全権を握っているので、syslog で取れているログにアクセスできていればいいのだ。

そういうわけで、いま検討しているサーバの監視システムは、たとえば「さくらのクラウド」などに構築する短期的なキャンペーンで使うウェブ・サーバとかの監視に利用することを想定している。なので、それこそ15年以上前から Nagios だの（当時は Perl から PHP にメインの仕事道具を移行していたのだが）Zabbix だのと使ってきて、他に取り回しできそうな監視システムがないものかと物色しているところなのだ。なお、Thenos + Prmetheus を扱うなら Go を勉強しておくのが望ましい。で、これらのフロント・エンドとして利用できるのが、Grafana だ。こちらも Go で書かれている。

試しに自宅の Raspberry Pi Zero W でインストールしてみたら、ちゃんと prometheus (stable, oss), prometheus-node-exporter, grafana-server が armhf 版として入っていた。ただし、prometheus 単独なら http://localhost:9000/ で Prometheus の標準フロント・エンドが表示されてサーバから取得したデータをグラフで表示できたのだけれど、Grafana (armhf 8.5.2) は起動してもプロセスが即座に停止してしまい、アクセスできなかった。armhf のパッケージではあるけれど、Raspberry Pi Zero W はサポートされていないようだ。syslog で起動時のログを確認しても grafana-server.service ファイルに記述されているとおり起動に失敗したときの再起動を繰り返しているだけだし、そもそも # grafana-service と叩いたら "Illegal instruction"（OS に許可されていない）というエラーが出てくるので、動かしようがない。

でも、Prometheus 単独ならなんとか動くようだし、そもそもこちらの標準フロント・エンドのグラフでもいいと言えばいい。Bootstrap で作ったような「リッチでスタイリッシュな」ページを見たいか見せたいならともかく、そこまでの必要はない。Grafana の本質がそこなのかどうかは知らないが、いずれにしても「フロント・エンド」であるからには、それを超えた強力な機能があるようには思えないので（もしそんなものがあれば Thenos がサポートしてくれていないと困る）、いまのところは動かせない Grafana を自宅の Raspberry Pi Zero W で試すのは諦めよう。