Scribble at 2024-12-07 08:16:17 Last modified: unmodified
発表時点では概念が実証されただけで、必要な機材が不足していてコストが高いため、まだ商業的に使えるものではないそうですが、杜教授らは「将来的に簡易化され、より手頃な価格で使えるようになる可能性がある」と期待しています。
ということで、まだ実用化には程遠いわけだが、コンセプトとしては期待できるのかもしれない。ただ、たとえば磁気テープを使った記録媒体は1920年代に考案されて、カセット・テープとして普及したのが1970年代だ。そして光ディスクは1960年代に考案されて、普及したのが1980年代であるから、ひとまず実用化への期間は短縮される傾向にあるかもしれないが、たった二つの事例だけではなんとも言えない。実際、次世代の記録媒体と期待されて何度かコンセプトが報道されている「ホログラム・メモリ」は、実は考案されたのが光ディスクと同じく1960年代だったのだが、それから半世紀以上が経過しても未だに全く実用化の目処すら経たない。どれほど実験成果で大容量を謳っていても、実用化されなくては存在しないも同然である。
そして、ご承知のように現行の記録媒体である光ディスクは Blu-Ray で実質的に頭打ちの状況にあり、既にパソコンの一般ユーザの多くはクラウド・ストレージ(これは事実上 HDD の利用者であろう)を利用し、家庭用の記録媒体としては映像でもデータでも外付けの HDD を選択する傾向がある。これは、もちろんだが Blu-Ray だと既にカジュアル・ユーザの運用している動画ファイルを頻繁に記録するような用途に耐えられないからだ。いまでは、高校生でも持っている iPhone で動画を撮影すると1分間の記録で 100 MB ていどの容量になるため、1 GB の動画なんて毎日のように撮影しているだろう。そして、本体に溜め込むわけにはいかないからといって、Blu-Ray に毎月のタスクとして書き込んでいるかと言えば、恐らくそんな人は撮影した動画で何か配信してたりするのでない限りいないと思う。また、容量だけの問題ではなく、そもそも光ディスクへの記録は時間がかかるし、さらに Blu-Ray は CD-R や DVD-R とは比べ物にならないほど書き込みの失敗リスクが高い。僕は業務で多くのファイルを Blu-Ray に記録してきたが、だいたい 50 GB を超える容量のディスクだと、クリエイター向けのスペックがあるマシンで据え置き型のハイスペックな Blu-Ray ドライブを使っているのに、書き込みの失敗率は2割を超えていた印象がある。25 GB のメディアだと失敗率はかなり低いので、会社全体で正式に Dropbox の運用へ移行するまでは 25 GB のメディアしか使わなくなっていたが、もちろんこれだと頻繁に書き込む必要があって、工数の無駄遣いでしかない(1人日8万円のシステム・アーキテクト兼 Chief Privacy Officer が Blu-Ray を焼いてるわけだから)。しかも容量が多くなるとなるで、Blu-Ray の書き込みは酷く時間がかかる。失敗のリスクが高いので、書き込みの速度を x4 や x8 にはできないという事情もあるからだ。
なので、業務から言っても、それから自宅で定期的に焼いてきた経験から言っても、もう光ディスクへの記録は先がないと思う。いやそれだけの理由ではなく、そろそろ常識として経験的にも多くの人が気づいているように、実は光ディスクの記録媒体は宣伝されているほどデータを長期間にわたって保てないのだ。僕が CD-R や DVD-R から Blu-Ray にデータを移し替えた経験から言うと、CD-R では100枚程度のうち半分くらいが5年も経たないうちにデータを読み取れなくなっていた。そして、DVD-R も5年以上が経過したものでは1割くらいが読み取りできなかったり、一部のフォルダの中身が読み取れないというエラーを起こしていた。もちろん、他に記録などしていないから諦める他にない。それに、別の機器あるいは将来の機器なら正しく読み取れるかもしれないといってメディアを保管し続けていたのでは、他のメディアに移し替える意味がない。どんどんメディアが会社や自宅に溜まっていくだけになるだろう。
このように、データを保てている年数から言っても、実は光ディスクは HDD などと大して耐久年数が変わらないのだ。寧ろ、容量やデータの読み書きの気楽さやコストから言って、まだ外付けの HDD を運用している方がマシではないかというのが僕のいまのところの結論である。そして、自宅が災害などに遭って失われると困るデータについてはクラウドを使い、それ以外のカジュアルな用途については自宅に外付けの HDD か NAS を設置して、RAID か複数台を何年かおきに入れ替えながら運用する方がよいだろうと思う。なので、僕は自宅でも、それから会社でも今後はそのようにして、光ディスクの運用は業務としてもやめるよう社内にも提案するつもりだ。