Scribble at 2024-07-04 12:10:15 Last modified: unmodified

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旧優生保護法下で障害などを理由に不妊手術を強制されたのは憲法違反だとして、各地の被害者らが国に損害賠償を求めた5件の訴訟の上告審で、最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)は3日、「旧法は憲法違反」として国の賠償責任を認める統一判断を示した。原告はいずれも手術から長期間が経過しているが、不法行為から20年で損害賠償請求権が消滅すると定める民法(当時)の「除斥期間」は適用しなかった。

旧優生保護法は「違憲」、国に賠償命じる 除斥期間適用せず 被害救済へ 最高裁大法廷

行政訴訟に関わる色々な事案を見ていて、これにも双曲割引の考え方が使えるように思う。つまり、こういうことは政府を訴えるなり行政が気づくなりしたときに誠実に対応しておけば、これほど長期間に渡って他の色々な事案にも悪影響を与えたりしなかった可能性があるわけで、ズルズルと問題を先送りにしたり無視したり軽視して時間稼ぎ(つまり原告が死ぬのを待つこと)するほど、国が賠償しなくて良いという目先の金は節約できても、後に悪い影響が残るし、経済的な悪影響を考慮すれば国益に反する可能性が高いだろう。「さっさと片付ける」という言い方は不適当だが、こういう事案を放置したり長引かせても、結局はネトウヨであれインチキ保守であれ、彼らの叫び尊ぶ国としてのプライドなんて逆に零落するのだ。もちろん、人類史というスケールの保守は、そんな刹那的とも言いうる安っぽいプライドと人としての尊厳について軽重を問うなどという愚行に訴えるような思想はもっていない。

今回の判決は、もちろん当時の状況に身を置いたとしても旧優生保護法は人権侵害であるという、しごく真っ当な判断であった。そして、こういう判断は当時もどこかでブレーキをかけられた筈であり、そういう仕組をスキップするような制度にしようとする策略には一貫して抵抗する必要があろう。特に、昨今はタイパだの何のと言って、立法過程や行政手続きや司法判断をいたずらに短絡しようとする意見もあるが、もちろん端的に言って非効率を改めるためにデジカル化を推進するようなことは認められても、フェイズをスキップしたり省略するようなことまで簡単に認めてよいわけがない。そして、それと同時に行政判断を適切に行うという名目で無用に対応を長引かせるような反動も許してはいけないだろう。

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