Scribble at 2024-05-22 11:59:00 Last modified: 2024-05-22 12:15:06
上の写真は "Classic" と称する復刻版のようだ。僕が自宅で使っているのは Happy Hacking Keyboard Professional 2 という名称のキーボードである。たぶん上の製品と同じものだと思う。そして、これを3年以上は使ってきた感想として言わせてもらうと、僕にとってはややストレスの溜まるキーボードだ。いくらブラインド・タッチで使っているとは言っても、全くキー・トップを見ずに扱えるわけではないし、そんな必要もない。
これは重要なことなので3回ほど繰り返して書いてもいいのだが、ブラインド・タッチができるかどうかと、プログラマやシステム・エンジニアとしての有能さとは殆ど統計的な関連性はない。もちろん、有能な人々の大半はブラインド・タッチするけれど、目隠ししてタイプしているわけでもなければ、そんな必要を感じている人はいまい。キー・トップを「見ない」のではなく、見る必要がないからこそ見ないでタイプしているにすぎないのであって、エンジニアとしてキー・トップを見るかどうかが才能に関係しているなんていう歪んだ自意識をもっている人間こそ、逆に無能の証明であろう。
よって、意味もなくキー・トップの打刻文字を隠したり読み辛くする、本機のような設計は、端的に言えば趣味的なものでしかなく、仕事道具としての意味はない。逆に、僕のようなキャリアの人間ですら、括弧や等号を打つときはキー・トップを見ているのであり、そして HHK Professional 2 はキー・トップを眺めた際の視認性が非常に悪い(もちろん、見えにくく作られているからだ)。なので、この3年のあいだ、閉じ括弧を叩こうとして右隣の「ー」を叩いたり、開き括弧を叩こうとして右隣の「)」を叩いたりというタイプ・ミスが頻発するようになった。これはたぶん、僕の老化だけが原因ではないと思う。
あと、やはりカーソルを「「;・’」なんていう、さほど合理性があるとは思えないキー配置で入力するのは、フェイル・セーフ(「’」を叩こうとして Enter を叩いてしまうという致命的なミスが起きやすい)の観点ではいまどき避けられるのに避けようとしない愚行であろう。Lite 2 のように、小さな矢印キーを据え付けたらいいだけのことを、UNIX だか LISP だかの一部の変わり者の習慣に合わせるなんてことを何かのブランドであるかのように実装したり維持するのは、やはり「老害」の一種であろう。
そういうわけで、次に買い替えるとすれば矢印キーのついた幅の広いキーボードになると思う。そもそも、HHK 信者からすれば「堕落した」キーボードである、キーが多くてサイズも大きなキーボードであっても、IBM のキーボードのように有能なエンジニアからも賞賛され愛用されていた機種だってあったのだ。僕も20年くらい前に使ったことがあって、その当時は2,000円くらいで売っていた「安物」だったのである。でも、好きな人は2万円のキーボードよりも評価していて、見つけたらスペアとして買って収納しておくなんて人もいたから、いまでも使っている人はいるだろう。それでもいいのだ。しょせん、エンジニアは(会社の仕事だろうと趣味だろうと)成果が全てなのであって、つまらない自意識や習慣にこだわっているだけで何事かを成し遂げられるわけではない。