Scribble at 2022-12-20 13:14:32 Last modified: 2022-12-20 13:16:08

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ふだんは金曜日に出社しているのだが、本日は本社の執務室に置いてあるファイル・サーバでトラブルが起きたため、確認と対応のために出社した。月曜日に、ファイル・サーバからブザーが鳴り出したらしく、当日は出社している人にマシンを停止してもらったのだが、状況がよく分からないので、すぐに見た方がいいだろうと判断して翌日の出社としたわけである。ファイル・サーバは Hitachi の HA8000 シリーズに当たる機器で、導入してから8年近くが経過しており、実際に様子を見ると HDD が1台だけ故障していて、HDD を装着する個所もランプが赤く点灯している。

もちろん、ファイル・サーバの用途で導入している機器なので、RAID は組んである。筐体には5台の HDD が刺さっていて、故障したと思われる1台を外すと 300 GB のドライブだと分かった。そして、このサーバのデータ・ドライブは容量が 1 GB なので、300 x 5 = 1.5 GB の合計に対して使える容量が1台か2台ぶんを引いたサイズになっているため、正確なスペックは忘れてしまったが RAID5 か RAID6 だと分かる(ていうか、上のスクリーンショットをよく見たら "RAID5" って出てるな)。つまり、2台までは故障してもデータは守られるわけである。

さてしかし、このブザーを止める方法が分からない。既に販売もされていない古い機種だし、Hitachi のサイトには参考になるマニュアルがない。ブザーを止める方法といった文言で検索しても、出てくるのは日立の冷蔵庫や電子レンジのマニュアルだけである。ということで、他にヒントを探していると、RAID を管理するソフトウェアで、物理ドライブに対するアクションとして "unconfigured GOOD" という選択肢がある。これは、まだ RAID に組み込まれていない状態の HDD のステータスを表す表現だが、考えようによっては RAID から物理ドライブを切り離してしまうためにも使えるだろう。そこで、このドライブを敢えて "unconfigured GOOD" に設定したところ、うまくブザーが止まってくれた。

今日はひとまずここまでだが、もちろん残る HDD の中で1台が故障したら後がない。NAS でも外付け HDD でも言えることだが、こういうメンテナンスには終わりがないので、僕のような人材でもいない限りは平均的なパソコン・ユーザのサラリーマンには手が負えなくなる。クラウド・ストレージが多くの企業で導入されているのも、当然の話だ。そして、いかにスキルがあろうと僕だって HDD やファイル・サーバのメンテナンスを続けるわけにもいかないので、来期は予算が取れたら新しい運用方法を検討したい。

このファイル・サーバを導入した当初は、もちろん執務室内で社員がファイルを共有することが目的であった。当時は、本社の執務室どころか、ルータに VPN の設定をして東京の支社からもアクセスできるようにしていたほどだ。でも、この3年で業務環境が全く変わってしまった。大阪だろうと東京だろうと大半の社員が出社せずに自宅で作業しているからには、ファイル・サーバがあろうとなかろうとクラウド・ストレージを利用するのが自然な対応というものである。これに加えて、ファイル・サーバの運用にかかるコストだって馬鹿にならない。HA8000 はリースで200万円ほどかかっているからだ。8年近くも HDD なり OS なりのトラブルが殆どなく稼働し続けているのだから、確かに値段がかかっているだけの結果は出ていると思うのだが、今回の事例でも分かるように、いかにサーバ用途の機器で堅牢に作られているとしても、限界はある。

ということで、ファイル・サーバでファイルを共有するという業務環境は、もう現在では Dropbox に移行しているため、この機器がいまでも動いている理由は他にあるのだ。それが、複合機から Dropbox へファイルをアップロードするための中継である。いま会社で使っているキヤノンの複合機は、オプションとして Dropbox にファイルをアップロードするようなサーバ機能が付いていない(付けられるとも限らない)。このオプションを設定したり、あるいはオプションがそもそも追加できる複合機に入れ替えたりすると、当たり前だが複合機のリース契約を組みなおす必要が出てくる。よく、こういう場合に事務機屋さんとかは「毎月の支払金額が変わらないようにできます」などと言ってくるわけだが、それは裏を返せば契約期間が延びるという意味であるから、リースを組みなおすと支払いの期限が更に伸びることとなる。どういう資産であろうと永久に同じ品質で使えるわけでもないのだから、支払いをゼロにして使い続けるという都合のよい運用はできない場合が多いけれど、この状況では考えようによって幾らでも他に手段はありそうだ。

一つは、Dropbox に複合機からファイルをアップロードすること自体を止めるという選択肢である。複合機から Dropbox に転送しているファイルは、複合機でスキャンしたデータの PDF ファイルと、ファクシミリとして受電したデータから出力した PDF ファイルである。スキャンしたデータを PDF ファイルとしてほしいなら、別に Dropbox にアップロードする必要はないのだから(スキャンした本人は会社にいるはずだ)、複合機から PDF ファイルを転送するターゲットをファイル・サーバではなく、そういうスキャンをしている社員のパソコンに変更すればいい。各人のパソコンに複合機からファイルを転送する共有フォルダを作らせたらいいだけである。その方が、Dropbox 側の「スキャンファイル」という全社員がアクセスできるフォルダにスキャンしたファイルが入らないのだから、寧ろスキャンした本人には機密が保護できて都合がいいだろう。

あるいは、コストを抑えてファイルの置き場所を確保するのであれば、Dropbox や Google Drive にアップロードする機能がある NAS を導入するといいかもしれない。いまどきだと、RAID1 が組める NAS の筐体で3万円ていど、そして 1 TB の SSD でも1万円ていどで買えるため、5万円くらいの予算で稟議が通ればファイルの置き場所は作れる。正直、これまでの経験から言えば HDD はどれほど高額で高級なサーバ用途の製品を使っても、やはり 24/7/365 で稼働させているのだから、長くは使えない。それこそ HDD の NAS を会社で運用していたことは何度かあったけれど、RAID1 や RAID10 で組んだ論理ドライブを構成する物理ドライブは、どんなに値段の高いものでも1年に1台くらいの頻度で購入して交換するというのが年間行事のようになっていたものである。そういうものだと割り切っていればいいが、やはり僕には(財務的な観点から言っても)不合理な運用だと思われたので、もう10年くらい NAS は使っていない。

でも、僕の経験だけで言えば SSD は信頼性がある。もともとは、2年ごとに HDD を故障させてノート・パソコンを無駄に買い替えさせるディレクターや営業など出歩く機会が多い社員のマシンに HDD ではなく SSD を選ぶようになって、「パソコンが遅くなった」などという理由でノート・パソコンを買い替えさせようとする社員が劇的に減った。もうたいていの社員は、入社時、あるいは Windows 8/10 に対応する機種へと(これも不合理な理由でだが)買い替えで貸与したノート・パソコンを4年以上は使っている筈だ。SSD には書き換えの回数制限があるという話があるにはあるが、当社の用途で言えば複合機から NAS へファイルを転送する事例なんて1日に1件もない。そういう事例の大多数はファクシミリの転送であり、しかも送られてくるファクシミリの大半は役員にインチキな投資話やセミナーを持ち掛ける営業である。SSD に回数制限があろうと、現状の用途や書き換え頻度からすれば、最低でも10年は使えるだろう。もしそれだけ使えたら十分だ。

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