Scribble at 2023-04-19 11:55:05 Last modified: 2023-04-19 12:31:16

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With Mastering Rust, learning Rust programming language becomes a charm, and will undoubtedly help readers advance their careers.

Mastering Rust: A Beginner's Guide (Edited by Sufyan bin Uzayr, CRC Press, 2022)

本日は、たまたま或るところで手に入れた Mastering Rust: A Beginner's Guide を PDF で読み始めたのだが・・・いちおうアマゾンのリンクは付けておくが、これはちょっとお勧めできないな。

本書は、科学技術の研究ツールとしてプログラミング言語を利用するという趣旨のシリーズで発刊されている本らしいのだが、特定の分野に絞って応用されたり解説が偏っていたりするものではないため、一般向けの入門書としても読める。ただし、この本が言う "beginner" というのは Rust という言語の初心者という意味であって、プログラミングを全く学んだことがない人は、特に冒頭部分は他の言語との比較とか仕様上の特徴などがエンジニア向けに説明されているため、全く理解不能だろうと思う。

こうして、さっそく言語仕様のところを読み始めると、println() のリテラルやプレースホルダを囲む記号が「"」ではなくて、恐らくは InDesign CC のようなアプリケーションか、あるいは原稿を作成するときに使用した Microsoft WORD などが勝手に置換してしまったまま入稿してしまったのだろうが、全て標準的な書体の欧文の引用符になってしまっている。つまり、「〝」と「”」に置き換わっている。しかも、ところによっては閉じる引用符でなければいけないところが開く引用符になっていたり、かなり滅茶苦茶だ。

また、本書がプログラミングの初心者に向けて書かれているわけでない証拠として、説明もなしにいきなりコードを記述している。Rust の expression がセミコロンで終わるとか、スラッシュ二つで行コメントになるといった説明が全くない。いや、それどころか何の説明もなくいきなり fn main() { ... } と書き始めているのだから、これはプログラマ向けどころか Rust を少しは勉強した人が読むものではないのかという印象すら受ける。

何年か前に僕がお勧めした Carlo Milanesi 氏の Beginning Rust: From Novice to Professional (Apress, 2018; 現在は2021年版にアップデートされている)に比べたら、説明も下手だし、そもそも読み手の学習曲線を考慮した項目の配置を考えて書籍の構成を計画したように思えない。調べてみると、この本は Sufyan bin Uzayr という人物が "editor" の扱いになっていて、実際に原稿を書いたり校正したりという実務に携わったのかどうか分からないのが余計に不安を起こさせる。ということなので、僕は2021年度版は読んでいないけれど、2018年に出た当時の書籍としては Carlo Milanesi 氏の本が最も良いと思うので、それ以降の仕様変更をきちんとフォローできるなら、5年前の本でも概略は変わっていないだろうから、いまでもお勧めできる。(https://www.amazon.co.jp/dp/1484234677)

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