Scribble at 2023-06-01 09:33:57 Last modified: 2023-06-01 10:18:53
ちなみに、辞書で "markup" と引けば「利ざや」とか「儲け("an amount added to the cost price to determine the selling price" (Merriam-Webster))」という意味が出てくる。それから、動詞としては "mark up" として "to put a markup on" つまり「利益を実費に足す」という意味になる。僕らが校正記号などを使って注釈するという意味合いで「マークアップ」と言っているのは、寧ろ "marking up" という印刷業界の言い方であり、Marriam-Webster などには用法や語源が掲載されていないため、注意しないと ChatGPT どころか辞書サイトですら不十分ということにもなる。
なので、"markup dancing" というサイト名を辞書で調べるだけで、「何かの利ザヤで儲けて小躍りしてるやつ」みたいな印象を持たれると困るんだよな。俺には不労所得なんてねーよ。
なおティム・ブレイの分類によると、"markup" と言っても presentational markup(ワード・プロセッサでの「太字に」とか「右寄せ」とか)、procedural markup(TeX などの整形ソフトで使う制御)、descriptive markup(labeling。なんでいまだに「ラベリング」なんていう日本語を英語のように使う人が多いのかは知らないが、いわゆるレイブリングだから XML も該当する)という三つに区分できるようだが、はっきり言って体系的な観点からの根拠はないから、あまり過信はしない方がいいだろう。哲学の古典にもよくあることだが、形而上学などで「カテゴリー」と称して物事を分類する事例は昔から数多いわけだが、その根拠は、アリストテレスだろうとヒュームだろうとかなりいい加減である。