Scribble at 2022-06-12 08:08:40 Last modified: 2022-06-13 07:34:05

When we formally introduced Atom in 2014, we set out to give developers a text editor that was deeply customizable but also easy to use—one that made it possible for more people to build software. While that goal of growing the software creator community remains, we’ve decided to retire Atom in order to further our commitment to bringing fast and reliable software development to the cloud via Microsoft Visual Studio Code and GitHub Codespaces.

Sunsetting Atom

Microsoft が GitHub を買収した時点で Visual Studio Code (VSC) と Atom が IDE として競合するのは分かっていたけれど、予想外に早く Atom から撤退するんだな。ただまぁ、Adobe の Brackets も開発が終わってユーザを VSC に誘導していたくらいだから、Adobe も VSC と Atom ならどちらに集約されるかは了解済みだったのだろうか。なんにしても、これでほぼフリーの IDE は Eclipse と VSC(頑固な人によっては Emacs もあると言うかもしれないが)に落ち着いた。

でも、正直なところ Eclipse は使う気がしない。(1) ゼネコン案件で Java を使う人の専用ツールという印象が強すぎるし、(2) IDE を使うためだけにローカルへ JRE を入れるのがウザすぎるし、(3) いまとなっては国内で誰も Eclipse の記事や情報を書かないという三点で、IT ベンチャーなどに務める若手のエンジニアからすれば、ブルーカラーの高齢者コーダーが使う、手垢が染みついた牛刀みたいなものだと思われている節がある。あるいは NEC や IBM といったゼネコンの5次請けみたいな下請けベンダーでコーダーや新卒、つまりは〈生体部品〉を統制する道具とか。

なんにせよ、これで VSC はカスタマイズ性が高くてクロス・プラットフォームのフリーな IDE としてデファクト・スタンダードになってしまった感がある。そして、これも古くからの問題ではあるが、「エンジニア」だなんだと言っていても、その大半は IT ゼネコンのブルーカラーや IT ベンチャーのパズル学生が占めており、僕らが仕事で使っている数多くのフリーなアプリケーションを裏で支える人々が、結局はぜんぜん増えないということなんだよね。もともと Atom はオープン・ソースでコミュニティ・ベースの開発をしてきたわけだから、別に GitHub や Microsoft が会社としてのコミットメントを打ち切ろうと、開発が続いてさえいれば "sunset" だなんて言われる筋合いはないだろう。実際、Atom からフォークすると言ってる人たちもいるわけだけど、その数は IDE を支えてゆくに足りる人数だろうか。

また、上記の記事では「新しく追加するような機能が、もう見当たらない」みたいなことを言っているが、この程度の安定性やパフォーマンスで何を言っているのかと首を傾げざるを得ない。そもそも "feature" なんて言うけれど、IDE の役割や意義はウィンドウの色を変えることやプラグインのサポートだけでなく、本質的にはテキスト・エディタなのであるから、エディタとしての文字列操作の正確さや性能という重大な点での改善が常に求められる。コミュニティ・ベースで開発が集中して行われたために、秀丸エディタのような個人が開発するアプリケーションよりもブラッシュ・アップが速いのは分かるが、手を入れる余地がないなんて判断は、少なくとも何年か使っていたユーザとして言わせてもらえば浅薄な印象を受ける。この程度で、ここまでやればいいだろうなんて、専門学校の卒業制作じゃあるまいし。やはりビジネスライクな事情があっての "sunset" というか、まぁ Atom に手を入れてもらっている人たちを VSC に呼び込みたいということなんだろう。両方を展開している会社から見れば、現状はリソース(「オープン・コミュニティ」の働きアリ)の単なる分散でしかないわけだし。

それから、Atom という IDE の開発そのものにエンジニアが集まりにくい(現在500名くらいだが、アクティブなユーザがどれくらいいるかは知らない)か手を入れる活気がないとすれば、やはりアーキテクチャーにも問題があるのだろう。要は Chromium + Node.js で設計された Electron の応用ソフトウェア(皮肉な言い方をすれば「アプリケーション・アプリケーション」)にすぎず、エンジニアの興味を惹かないということである。Atom のアーキテクチャーは、凄く簡単に言えば「簡易版のブラウザ」であって、エンジニアの大半は CSS や JavaScript のコーディングをしているだけである。よって、Electron に手を入れるわけでもなければ、しょせんフロント・エンドを弄繰り回しているだけだという印象をエンジニアの多くに与えるのは仕方のないことである。

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