Scribble at 2022-06-05 23:09:26 Last modified: 2022-06-06 00:45:35

日本のPerlコミュニティの有志により「perl-users.jp」が開設されました。さらに,それに影響を受けた他のプログラミング言語やエディタなどの初心者ユーザ向け用の**-users.jpが次々に開設されていきました。

[2008年の記事] 日本のPerlユーザのためのハブサイト「perl-users.jp」開設

ruby-users.jp、php-users.jp、js-users.jp、as-users.jp、rails-users.jp、air-users.jp、emacs-users.jp、vim-users.jp、そして perl-users.jp と、勝手にドメインを登録してコミュニティを用意したなどと Perl のユーザが騒いだのは、2008年のことだった。もちろん、いまではすべてのサイトがコンテンツを消失しているし、そもそも最初から使われなかった事例すらある。そらそうだろう。Perl 使いにすぎない個人にドメインを握られて、いったい他のプログラミング言語のユーザがどういう方針でサイトを運営するというのか。しかも、2008年と言えば既にウェブ・アプリケーションの開発プラットフォームとして Perl の採用事例は極端に減って PHP と入れ替わっていた時期だ。もちろん、ここでは PHP vs. Perl などという狭量な話題をしたいわけではないし(言っておくが僕は両方のユーザであり、もともとは Perl をメインに使っていた)、それを語ることには狭量さどころか話題としての些末さがあるのだから、はっきり言ってどうでもいいことだ。

寧ろ、日本の特にウェブ・アプリケーションに関わるコミュニティというのは、大半がロクでもないものだという印象があるため、上記のようなことを誰がやろうと(つまり PHP のコミュニティがやろうと Java のコミュニティがやろうと)結果は同じだったと思う。或る程度の規模や運営実態が蓄積されてから企業などがサポートするというならともかく、日本でプログラミング言語やデータベースあるいはウェブ・アプリケーションの開発に関わるサービスとかプロジェクトのコミュニティとかユーザ・サイトを立ち上げる連中というのは、(1) 上場企業に所属するグループや個人で、市場を誘導したい下心が見え見えの客寄せパンダ的な自称「スター」たちか、(2) 中小零細のベンダーや個人事業主として、これまた名を上げたいとか、業界のヘゲモニーを掌握したいとか、あるいはご意見番の地位でセミナーを開いたりテキストを執筆したいという下心が見え見えのエンジニアか、(3) 善意だけで技量がゼロのアマチュアであるか、のどれかだ。要するに、他人と一緒に何かするという根本的な動機が欠落している、名声欲や業界での位置取りのことしか考えていないゴロツキどもだ。はっきり言って、恥を知れと言いたいね。

もちろん、そうでないコミュニティも一部にはあるが、得てして長続きしない。例えば、藤本真樹氏という GREE の取締役(現在は何とデジタル庁の CTO らしい)が開発していた Ethna というフレームワークがある。残念ながら彼が開発していた Ethna のコミュニティは、フレームワークそのものは使ったことがないので良いも悪いもコメントする資格など僕にはないが、5年くらいで失速してしまった感がある。GREE という特定の企業が絡んでいると、どれほどオープン・ソースであっても日本では他の企業が寄り付かないからでもある。他にも、僕は特に PHP でいくつかのコミュニティを実際に見ていたし、話題となっては数年も経たずにサイトが消失したりゴースト・タウンになっていく事例をたくさん見てきた。死体を蹴るようなことは言いたくないが、大手広告代理店の子会社に所属するメンバーが中心となって、或る PHP のフレームワークのコミュニティを作っていた事例などは典型だった。実は、その会社は上場企業のウェブサイトでセキュリティの事故を起こして大炎上していたわけで、裏の事情を知っている立場からすれば、一部のユーザしか使わないフレームワークのユーザ団体を作ったりサイトを運用するなどという、雑事にかかわってる場合ではなかったはずなのだ。結局、特定の言語やフレームワークやパッケージなどのプロジェクトに関わったりコミットすること自体が PR つまりはポーズにすぎないという事例が、上場企業から個人事業主に至るまであまりにも多すぎるのだ。

これからウェブ・アプリケーションなどの開発を志す方々には、やはり最優先で英語を勉強してもらい、国内のユーザとか物書きの書くものは端的に無視して生きてほしいと思う。コンピュータ・サイエンスの学科に進む方であれば日本の研究者の成果にも一定の意味があるからともかくとして、まず仕事に使う素養を高めたいというのであれば、英語の情報を最優先で得るのが現実的だし、それで何の不足もない。不足があると思い込んでいるのは、この業界にも実は相当な割合でいるイージーなナショナリストかネトウヨだけだ。

  1. もっと新しいノート <<
  2. >> もっと古いノート

冒頭に戻る


※ 以下の SNS 共有ボタンは JavaScript を使っておらず、ボタンを押すまでは SNS サイトと全く通信しません。

Twitter Facebook