Scribble at 2022-06-06 09:49:41 Last modified: 2022-06-06 12:12:17

かつては日本料理、洋食、中華料理の各分野について専門化がなされていたが、最近ではスピード料理やダイエット料理など、より実践的な視点での専門化も進んでいる。

料理研究家

朝食をとっているあいだは、NHK のニューズ番組から朝ドラ、そして『あさイチ』の冒頭くらいまでを観ている。『あさイチ』は、一度でも観た人なら誰でも分かるとおり「女性」向けの番組であって、更に言えば専業主婦か特別なシフトでパートに行っている主婦かせいぜい主夫を対象にしている。8:00~10:00 という時間帯にしてから正社員として共働きの家庭で観られるような番組ではないし、パートでもこういう時間帯の番組を観られるのは一部の人だけだろう。とは言え、こういう番組をそもそもオン・タイムで観ている人がどれほどいるのかという気もするから、現実には録画して観ている人もいるのだろう。また、NHK 自体が番組のオン・デマンド配信をウェブで提供しているのだから、それなりに後から観るという需要があってやっている筈だ。

本来はそういうことを書きたいわけではなく、そういうワイドショー番組で料理が取り上げられるたびに、次から次へと登場する「料理研究家」と称する(主に)女性たちだ。手芸の分野でも似たようなものだろうと思うが、この手の「家政」と呼ばれている家庭内の衣食住にかかわる労働とか、それに歴史的な経緯として強く関連する趣味についても、いったい日本にどれだけいるのかと思うような人々が「師範」とか「講師」とか「研究家」などという肩書をもったり勝手に自称して、主に SNS やカルチャー・スクールで活動しているようだ。そして、そういう人々の〈賞味期限〉とか平均的な活動年数はどれくらいなんだろうと思ったりする。日本の社会学者は暇なんだから、日雇い労働者やアダルト女優のフィールド・ワークを鬼面人を驚かす興味本位な本を書くためだけにやってるような人員を一部でも割いて、こういうことでも調査したらどうか(もちろん、ホームレスや風俗の調査や研究が無意味だとか価値が低いと言いたいわけではない)。

一部の、専門学校を経営しているような人々(こちらはなぜか男性が多い印象がある)を除くと、料理研究家を自称する人々で僕が覚えているのは、せいぜい小林カツ代氏と息子のケンタロウ氏、それから平野レミ氏といった、テレビ番組に多く登場していた人々だ。上記でリンクしたウィキペディアの「料理研究家」という記事でも、上に引用した一節だけでも「[いつ?]」という突込みが二つほど入っているのが分かるように、こうした肩書でものを書いたり料理の講座を主宰するといった活動は、それこそ近所の主婦仲間を集めての茶話会に近いものも含まれるだろうから、実態を把握するのは歴史としても規模としても内情としても非常に難しいだろうと思う。

正直、「映える(ばえる)」盛り付けの配色しか考えていないような料理とか、思い付きの適当なアイデアだけで些末な調理を紹介しているだけの、"gig" と言った方がいいような、プチ成金の専業主婦が片手間にやってる暇潰しみたいなものは、健康とか生活にとって殆ど役に立たない趣味の問題に過ぎないか、あるいは真面目に栄養学と生理学を学んだら済むようなことしか言っていないはずだ。なので、そういうアイデアだけの些末な「情報」とやらを凡庸な人間が何年も繰り出すなんて無理に決まっているのだから、僕がこういう人々の入れ代わり立ち代わり登場する様子を眺めている限りで言えば、それこそ〈賞味期限〉は半年からせいぜい1年が限度だろうと思う。そのあいだに、印刷しては書店へ無造作にばらまかれたまま図書館にも収蔵されないような安っぽい本(新刊書店ですら数か月もすればワゴンに積み上げられて投げ売りされる)を1冊出せれば成功といったところだろう。

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