Scribble at 2024-06-11 14:18:59 Last modified: unmodified

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【ニューヨーク=小林泰裕】米IT大手アップルは10日、独自開発した生成AI(人工知能)機能を、主力スマートフォン「iPhone(アイフォーン)」などに搭載すると発表した。まず英語に対応し、今秋から無料で提供する。オープンAIの対話型AIサービス「チャットGPT」とも連携し、AIサービスで先行するマイクロソフトなどに対抗する。

iPhoneに独自生成AI搭載、メールを要約し返信内容も作成…今秋から英語で無料提供

先日の、マイクロソフトの Copilot+ が搭載されたパソコンで重大な懸念が予想されるという話にも通じるわけだけど、「AI」と言っただけで何でもかんでも良いとか発展だとかいうことではないわけだよね。これは、もちろん僕らのように基本的な統計学や機械学習の知識をもっていて、自分でも Stable Diffusion を使っているような人間だけが知っていればいいことではな済まなくなってきていて、もちろんうちの会社でも営業のプロトコルを作成するために ChatGPT を活用しようなんてことをやってるわけで、既に個人としてはどんどん使ってる人が増えている。いまどき「仕事に役立つ ChatGPT」なんて本を読んでるような人は、だいたい現時点でも1年半くらい既に遅れてるんだよね。

それから、AI を活用するというトレンドは今後も続くとして(これ自体を否定したいわけではない)、とりあえず哲学者、しかも科学哲学者として言っておきたいのは、やはり過剰な期待を抱くのはやめたほうがいいということだ。もう、いまどき「シンギュラリティで不老不死」といった妄想を喚いているのは、Google のレイ・カーツワイルのような山師くらいだろうと思うけど、計算の性能から言っても劇的なブレイク・スルーはない。なんと言っても、光の速度を超えるメッセージングが不可能であるとか、干渉を防ぐために回路どうしで一定の距離をとる必要があるといった制約があるからには、物理的な限界というものは必ずある。それこそ SF 的な作用でも見つからない限り、いまの AI でやれることなんて、実はたかが知れていると思ったほうがいいのである。

そら、線形的な発展が続くだけでも、色々と目新しいことや面白いことは起きるから、妄想が膨らんでいくのは分かる。わずか3年前には、自分のパソコンで好きな構図の美しい壁紙写真だとか、「いやすとや」とは違うテイストのイラストをいくらでも合成できるなんてことは考えられなかったわけだから、これはこれで素晴らしい成果だと言える。文法を全く学んだことがない、スワヒリ語やオランダ語のサイトであっても、入力した URL のページで報道されている内容を翻訳するだけでなく概括してくれるなんてことも、いまでは多くの人が気楽にやっている。でも、そういう目立った成果だけで判断するのは軽率だし、場合によっては危険でもある。

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