Scribble at 2022-03-20 09:15:07 Last modified: 2022-03-20 09:26:12

この5月で SHARP AQUOS zero2 SHV47 の2年縛りが終わるため、任意で機種変更してもいい時期となる。しかし、以前も書いたように au/KDDI のサイトやスマートフォンに関連する情報サイトを幾つか見ていても、昨年から殆どまともな新機種が発表されなかった。ここにきて、ようやく iPhone SE(第三世代)は発表されたが、Apple ですらそのていどであり、iPhone 13 についても本体にグリーン系の色を使った商品が追加されたていどの些事しか新しい話題がないという次第だ。つまり、マイナー・チェンジしか新製品の話題がないということでもある。

以前、エントリー商品や高齢者向けのスマートフォンについては、形状などハードの使い勝手やホーム・アプリケーションのカスタマイズなどを洗練させたらいいのであって、或るていどの水準になれば新製品と言っても形状や UI は大して変わらなくなってもいいと書いたが(たとえば、プラットフォームで見かける駅名の掲示版について毎年のようにデザインが刷新されたらどうか?)、本当に新製品を次々と作って競争するインセンティブとともに、売り続けないと開発資金が(投資を呼び込むという意味でも)捻出できないというのであれば、これまでのように半年ごとに新製品が登場するのもわかる。しかし、逆に言えば、このところ新製品の話題を殆ど聞かなくなったということは、つまるところカメラの性能やディスプレイの性能は頭打ちということではないか。

以前も書いたが、僕はスマートフォンのカメラはさほど期待しないし、使ってもいない。それに、iPhone ならともかく Android については、どれほど解像度が上がったと宣伝されても、しょせん10年前に使っていた解像度が半分以下のデジタル・カメラで撮影した写真の品質にすら届かない。どれだけ解像度が上がっていても、拡大して見たら画像が荒いのだ(これは JPEG で写真を保存してしまうがゆえの避けられない劣化によるものだろう)。音質についても、いま使っている業務用の iPhone SE(第2世代)ですら、もう十分な音が出ていて頭打ちの感がある。これ以上を望むなら、低音を出すために高額なスピーカーかヘッドフォンを使わないといけないはずだ。よって、もうスマートフォンについて現行のテクノロジーを商品化して普及させられるだけの価格に抑えられる限界が近づいていると言ってもいいのではあるまいか。残っているのは、せいぜい「AI」とやらを駆使して出鱈目な自動化機能をふんだんに盛り込むことくらいのものだ。実際に、このところアプリケーションでも大半の新規リリースは処理の自動化や自動調整ばかりアピールしている。

そして、いまのところ供給側だけでなく需要側において新機種をさほど望んでいないと思える最も深刻な理由と思えるのは、既に 5G 端末が主力商品となっているのに、5G の回線を使う意味が殆どないということだ。一例として動画を観るというシーンを考えても、これまで 4G で問題なくストリーミングの動画を観られた状況で、それが 5G になったからといって、実は何が変わるわけでもない。画面の解像度が4倍のスマートフォンで観ているわけでもないのだし、4G の帯域で十分に処理できている動画を 5G で高速にダウンロードできたからといって、別に画像が綺麗になるわけでもない。これについては、「最高ビットレートで表示できる『確率』が上がる」という回答が標準的なのだが、それはつまり混んでいる回線でも動画が止まらないということであり、要するに技術的な向上というよりも〈社会的な〉問題(契約回線数が多くなるとベスト・エフォートの回線は「頭割り」になるという)の解決というべきだろう。

つまり、5G が有利なのは回線が混んでいるという前提があるからだと言い換えてもいい。回線が混んでいなければ、最高ビットレートでストリーミングの映像を 4G でも問題なく処理できるのだから 5G は(少なくとも動画を観るだけなら)いらないという話にもなる。ただ、だからといって「収容回線を多くの世帯で分割しているキャリアの中継器不足をごまかしてるだけだ。J:COM 商法だ!」と怒ってみても、サービスを提供するにはコストというものがあるため、根元の1回線を20世帯で割り振っていたところを5世帯で済ませるというわけにはいかない。それだと、単純に言えば根元の回線が4倍に増えるため、回線を使用する運用コストやメンテナンスに必要なコストも4倍となり、要するに通信料金が4倍になってもいいんですかという話になってくるからだ。

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