Scribble at 2022-01-03 10:20:27 Last modified: 2022-01-03 10:33:17

Raspberry Pi に関連する書籍やウェブ・ページを調べているとわかることだが、この基盤はもともと教育用として開発されたのだが、いまではすっかりガジェット・マニアの遊び道具と化している感がある。もちろん、教育用だけでなく実際に Raspberry Pi を組み込んだ工業製品をリリースしている会社まであるわけだが、企業の IT 資産について調達基準を決める職責を負っている者として言わせてもらえば、Raspberry Pi を使った業務機器なんて際物だとしか思えない。

また、導入の実績として紹介されている事例を見ても、その大半は基盤を使った「ものづくり」に偏っていて、Raspberry Pi 財団が想定しているプログラミングやコーディングでの実績、あるいは昔の「電子ブロック」みたいなものと同じく、同じ基盤を色々な用途に使えるという応用力を実証するような実績が殆どないという現状だ。これでは、多少の暇と金があるロートル技術者だけの遊び道具だと見做されても仕方ないわけである。

他の事例、情報セキュリティだとかデザインだとかにも言えることだが、こういう偏執的で狭小な結果に陥る理由は、僕に言わせれば明らかに基礎や原理にかかわる情報とか知識の普及を軽視しているからだと思う。端的に言えば、デザインについては美学の理論や工業デザインの法律とか歴史、そして色彩心理学や認知心理学の知識がウェブのデザイナーには圧倒的に不足している。コーダみたいなブルーカラーはどうでもいいが、いやしくもプログラマとかシステムのアーキテクトを名乗っている人間は学部レベルの離散数学を修めていることが望まれるし、Raspberry Pi OS 上で開発する記事を書くなら、Debian か Ubuntu の運用について LPIC-2 くらいの知識や経験は求めてよいだろう。しかし、Raspberry Pi を扱うサイトやブログで、OS そのものの話を丁寧に紹介している事例なんて、英語だろうと見たことがない。

要するに、従来の生半可で程度の低い SE や情シスのクズ技術者どもと同じく、自分がもっている見識や情報を敢えて見せないことによって、初心者に対するアドバンテージを保つしか能がないわけだ。素人は、Debian の日本語の解説書なんて15年以上も新刊が出ていないので、自分でドキュメントを調べて習得するしかない。よって、Raspberry Pi OS について知ろうとした人の過半数は途中で挫折し、残った人々もあるていどの知識や経験を得るまでに3年や5年はかかるとすれば、そのあいだにアキレスと亀の競争みたいな話と同じで、たとえ初心者の学習スピードの方が速いとしても、自分も何らかの経験を積みながら逃げ切れるというわけだ。あとは、オライリーや翔泳社から本を書こうとするスケベ根性しかない連中がいるだけのことである。こんな国家でアメリカや中国と肩を並べるような知識や情報が普及したり、教育成果や CGM やオンラインのリソースとして蓄積されるわけがない。

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