2022年06月18日に初出の投稿

Last modified: 2022-06-20

ゲイツ氏は5月に開催したredditのAMAでは、ビットコインを所有しているかという質問に「所有していない。私は価値のある成果をもたらすものに投資するのが好きだ」と回答している。

ビル・ゲイツ氏、「NFTは大馬鹿理論に基づいている」

産経新聞の記者って「reddit の AMA」が何なのか知ってて書いてるんだろうか。ていうか、新聞記事で説明もなしに「AMA」とか書く方もどうかしてると思うが、まぁそれはいい。

ここでは、異常な性癖で離婚した金持ちのお話を紹介しているわけだが、もちろん表面的な理屈としては僕も同感である。最初に NFT の話題を見かけたのは、確か Facebook で「デザイナーが一夜にして大金を手に入れた」という、クズみたいな自称メディア(都内の三流ベンチャーとかウェブ制作会社が蛆虫みたいに続々と公開してる、WordPress のテンプレ集みたいな、あれ)の記事がタイムラインに出ていたのを見かけたときだった。いまや Flash も終了して、制作の単価がみるみるうちに下がり、かといって紙やウェブ・ページの見栄えしか手掛けてこなかったオペレータ同然のデザイナーの大半は HTML 5 + JavaScript フレームワークの制作体制にも順応できていない。しょーもないがらくた同然の GIF 画像が1枚でいくらなんて市場が登場したら、そら飛びつくし、そういうトレンドを煽るようなツイートをしまくるのも当然だろう。また、そういう新しい金儲けの宣材なり「ロジック」が手に入ると、特にウェブの制作事業や IT ベンチャーの業界に無数にいる、マーケティングと口先営業だけのチンピラどもが、せっせとパワポで詐欺同然の絵空事を描き出す。

繰り返すが、情報科学や暗号論あるいは数学モデルとしての blockchain は興味深い。これは情報の理論や情報セキュリティという観点からいえば、学ぶ価値があるし、色々な用途に応用できるはずだ。それはいい。ビル・ゲイツは否定的だが、デジタル通貨のプラットフォームとしても役割を果たしてよいと思う。もちろん、decentralization といった非現実的な単なるスローガンのために導入するというのでは不十分だし、底の浅いものになるしかあるまい。しょせん、garbage in, garbage out であって、浅薄な思想しかもっていない人間が高度な数学モデルを使おうとも、そこからはしょーもないレベルの制度や仕組みしか出てこない。数学がものごとを解決するのではないという真理を学ぶためにも、まじめに大学へは通った方がいい。

しかしながら、〈ウェブ上のセグメントという意味での地域通貨〉でしかない現状の暗号通貨市場は、簡単に言えば投機家の遊び場でしかない。ビルが言うように、そんなところで数字をぐるぐるとまわしたところで、リバタリアンお得意のトリクルダウン的なおこぼれで世界が良くなるなんてこともありえない。都内の上場企業に勤める若手の暇な無能どもが、小遣い銭をつぎ込んで下らない小売店で下らない買い物をするのに使うのが関の山だ。そして、それが世界中に普及したらスケール・メリットで何か新しいことが起きるのかというと、経済学者でそんな「革命」を信じている者なんて殆どいないし、それどころか IT 業界にすら実は大していないのである。

いちおう、流行している話題ということで、僕も会社で blockchain の仕組みについて簡単な暗号理論とともに研修の教材として取り上げたこともあったし、全社レベルの決算会議ですらレクチャーしたこともあったのだが、もちろんあくまでも仕組みについてだけだ。ビットコインの市場については触れていないし、触れる意味もないと思う。

参考までに書いておくと、暗号通貨の市場は金融取引法などに従って私企業が自力で構築できるのだが、その辺のしょーもない中小零細が立ち上げられるようなものではない。システム自体の構築に数億円かかるし、それを実際に手掛ける、簡単に言えば僕を超える能力の人材を集めるのに、いまは人材が不足しているから、海外からも人を募集するとなると、合計で数十億円はかかると思った方がいい。それでも、〈まともなレベルの暗号通貨市場システム〉を構築して運用できるかどうかは、僕の直感では2割くらいしか確証がない。もう、有能な人材が残っていないからだ。コーディングできるだけのサルなんて IT ベンチャーにはもともと不要だし、僕のスキルにも届かないような、英語も読み書きできないとか学部レベルの数学も知らないといった人材なんて、給料をゴミ箱に投げ捨てるようなものだ。IT なりシステムがメインであるような投資には、金を調達したり口先でプレゼンする人材だけでは不十分である。僕らのような、自分よりも「できる」人間がわかっていて採用したいと感じる人、そしてバカは絶対に採用しないという冷酷な人間だけがものごとを正しく導ける。ジャック・ウェルチが精力をこめて GE に人材開発の仕組みをつくったように、有能な人間というものは、自分よりも有能な人間に仕事を任せたり継承するべきだと考えて実行する者のことである。

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