Scribble at 2022-03-06 18:28:30 Last modified: 2022-03-07 22:54:25

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一昨年くらいまでは、春夏秋冬という時期の変わり目が近づくとスマートフォンの新機種について数多くの記事やツイートがメディアやタイムラインを占拠していたものだが、今年は3月になっても殆ど新機種の話題がない。いや、僅かにあると言えばあるが、3万円以下のエントリー用の機種であり、特に何か食指を動かされるようなものでもない。

そもそも、僕はこういう初心者や高齢者を相手にする機種こそ、やたらと毎年のように UI や形状を変えるのではなく、操作性や無駄なエネルギー消費を抑える細かい工夫を重ねてアップデートしていけばいいだけだと思っている。毎年のように新しいデザイナーに、それこそ機器の形状から設計させるなどというのは、簡単に言えばプロダクト・デザインの敗北宣言に等しい。前回の機種は人の役に立たないガラクタでしたとデザイナー自身が言っているようなものだからだ。

ウェブサイトも同じである。この20年ほど、僕らプロのデザイナーの観点から言って全く無意味と断言できる表面的なビジュアル・デザインの変更だけを目的に、一つの会社の一つのウェブサイトが毎年のようにリニューアルされていた。これは、次々と異なるデザイン会社が担当するのであれ、同じデザイン会社で同じデザイナーが担当するのであれ、当人あるいはデザインの業界全体として「わたしたちは無能です」と自己紹介しているのと同じである。

よく、専門学校を出たばかりのガキが作ったコーディングやデザインや営業代理店などの会社で、「お客様と一緒に成長する」とか愚かなことをフロント・ページのキー・ビジュアルに記載している恥知らずな連中もいるが、プロとして他人から金銭を受け取るだけの気概も自信も責任感もないなら、頼むからイージーに「起業」なんて考えないでもらいたい。そういうフレーズは、modesty とは何の関係もない、へなちょこ宣言でしかない。

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