Scribble at 2022-10-27 08:58:47 Last modified: unmodified

添付画像

取引所が保有していた日本円にして150億円相当の仮想通貨が、暗号鍵を保有していた創業者の急死によって“消えた”とされる事件。残されたノートパソコンのパスワード解析が失敗したと伝えられるなか、引き続き暗号鍵の回復が進められている。なぜこうした問題が起きたのか謎が深まる一方で、さまざまな「陰謀説」も浮上してきた。

仮想通貨150億円相当が管理者の死で“消えた”事件、その深まる謎と「陰謀説」について考える

先にご紹介した、アディ・シャミアの秘密分散法について書かれた論文の紹介動画みたいなものは、その冒頭で司会者らしき人物が10分も話していたと書いた。或る秘密を解読するのにパスワードという単独の情報しか方法がなければ、或る意味ではその情報が失われると解読不能になるという点では危険である。そして、10分も何を話していたのかというと、その危険な一例として、パスワード一つが解読できないために数百億円の損失が生じたまま取り返しがつかないという状況が生まれた、上記の「事件」を紹介していたわけである。

仮想通貨の取引市場である QuadrigaCX を運営していた Quadriga Fintech Solutions という企業の代表が、インドでクローン病のため急死したという。そして、仮想通貨の市場を運営するのに必要な「鍵」と呼ばれる情報は、その人物が保有していたパソコンにしか保管されておらず、しかもパソコンのパスワードは当人しか知らないため、鍵を普及できなければ仮想通貨の取引に妥当性がなくなり、保有している仮想通貨の価値が失われてしまう。そこで Quadriga 社はパソコンのパスワードを解析していたようなのだが、解析はできなかったという。その後、2019年に会社は倒産し、財産を受け取った妻が債権者に遺産を提供するといった話があるし、この Quadriga 社のサービスそのものが投資詐欺ではないかという話もあって、興味本位なドラマが幾つかのメディアで制作されたようだ。それはどうでもよい。

Papers We Love の司会者は、この事件を事例として詳しく紹介しながら、おそらくは秘密分散法というアイデアの重要性や意義を強調したかったのだろう。でも、10分も喋らなければいけないほどのことだろうかという気がしたのも確かだ。まぁ大半のアメリカ人はカナダの話なんてまるで興味ないだろうから、仕方のないことなのだろう。なにせ、「伝説的」と呼ばれたディック・ハートの Identity 2.0 というプレゼンですら、冒頭で「カナダって国があるのは知ってるかい?」といった自虐ネタを飛ばしていたくらいだ。

  1. もっと新しいノート <<
  2. >> もっと古いノート

冒頭に戻る


※ 以下の SNS 共有ボタンは JavaScript を使っておらず、ボタンを押すまでは SNS サイトと全く通信しません。

Twitter Facebook