Scribble at 2022-10-27 08:30:20 Last modified: 2022-10-27 08:30:28

大半の回答者は自己顕示欲や承認欲求が強いだけのいっちょかみにすぎないとか、有益な回答がありうるとしても探す手間や検索コスト（あるいは的確に検索するための関連情報）がかかりすぎるとか、ソーシャル・ブックマークなどのサービスで運用されている reputation は機能していないとか（これは当サイトでも WOT というサービスについて10年以上前に指摘した話でもある）、それぞれの理屈は説得力がありそうに思えるけれど、やはり極端な議論だと思う。関連するメーリング・リストに入るとかオフ会に参加するとか FAQ や公式のドキュメントを読むとか、そういったことに加えてソーシャル・メディアで検索してもいいし、CGM コンテンツやソーシャル・ブックマークも一つの参考として使える。目的や動機が一致した集団の中だけで情報をやりとりするのがいいというのは、要するに北斗神拳の伝承者を決めるような事例を理想化しており、いわゆる開発者やヘビー・ユーザのコミュニティの外に有益な情報や優れたユーザはいないという、僕に言わせれば錯覚にもとづいている偏見だと思う。

そういう錯覚を持つ人は、C++ について正統で間違いなく優れた知識や技能をもっているのは C++ の国際規格を議論している人々や、C++ の処理系を直に開発しているコミッターだけであると思いがちだ。それゆえ、PHP なら PHP という処理系の開発にかかわっている人をご意見番や開発の権威として安易に設定する。しかし、圧倒的多数の技術者が従事しているシステム開発というものの目的は処理系そのものの規格・仕様を決定したり設計したり実装することではないはずだ。もちろん、だからといってプログラミング言語のユーザとしてのエンジニアは処理系に関心がなくてもいいと言っているわけでもないし、そもそも「どちらが偉いのか」などと小学生レベルのオタク議論をしたいわけでもない。