Scribble at 2025-06-21 11:43:01 Last modified: 2025-06-22 14:57:15
海外のメディアに掲載される記事で気をつけておいたほうがいいのは、あっちでも最近になってようやく記事の冒頭で disclosure するようになったけれど、いまでもこの記事のように書き手が最初から一定の予断なり意見を持ったうえで話題を扱っている場合があるということだ。この記事でも末尾に「筆者が一貫して主張してきたように、WindowsからLinuxへの移行をうまくやり遂げることは可能だ」なんて書いてるわけで、この人物は行政や企業の業務を Windows ではなく Linux で遂行できるという意見の裏書きとして上のような事例を記事としてまとめているという、いわば下心があるわけだ。Linux でも業務できると主張したいだけなら、そういうエッセイを投稿すればいいわけで、何も自分の意見を例証してくれそうな出来事を報道する必要はない。なぜなら、エッセイとは違って報道の場合は Windows から Linux に移行して失敗した事例も合わせて報道しなければ、それは単なるイデオロギー政党のビラ配りと同じだからだ。自分たちの意見を報道と称してバラ撒いているだけにすぎない。まぁ、こんなことすら学部でも教わらず、また自力でも勉強せずに、新聞記事やニューズ番組を作ってるのが、日本とか呼ばれている東アジアの田舎国家で働いているジャーナリスト様たちなんだがね。
もちろん、Linux でも業務できる。というか、僕も当社に入ってから来年で20年になるのだが、そのあいだに何度かの機会をとらまえて Windows デスクトップ以外の業務環境を採用できないかと模索していた時期があった。そして、Windows を使うにしても、Microsoft Office でやっていることを他のサービスなりソフトウェアで代替できないのかと思って、色々と探したり試してきている。それは、単に MS Office を alternative suite に置き換えるというだけのことではなく、たとえば表計算ソフトに入力してシートとして管理するという業務そのものをデータベースの運用などに移行するといったことだ。これは、実は DX として持て囃されていた、そして急速に世間の話題から消え去ってしまった業務の転換とコンセプトは同じなのである。つまり、アプリケーションを替えたり、オンライン・サービスを使うようにしたり、いやそれどころか紙の帳面からパソコンに道具を持ち帰るなどといったことだけではなく(実はそういうものもなし崩しで「DX」として推し進めて馬鹿げたプロダクトを売ってきた SIer や事務機屋どもが DX をスポイルしてしまったわけで、労働文化や産業政策という観点での罪は重い)、働き方や業務プロセスそのものを事業内容やビジネス・モデルまで含めて転換することなのだ。
そういうわけで、たとえば会議一つをとっても Zoom を利用するだけではなく、録画データから生成 AI で transcript を出力させて議事録にするとか、内容に間違いがありえるという一定の注意はしながらも、更に生成 AI で要約させるという「デジタル化」を推進するのはもちろんだが、そもそもそういうプロセスを利用するようになったら「会議」という業務(もちろん会議も業務の一つだ)の役割とか実施頻度や要件なども変更する必要があるかもしれない。つまり、会議ではなく必要なメンバーだけのチャットでいいとか、逆に曜日や時刻を決めていたところを一定の条件を決めて必要に応じて会議を開くとか、効率や効果を最大化するために無意味な規則や習慣を見直すきっかけにもなろう。
ところで、記事のタイトルについて触れておく。なんで「Linux」と括弧でくくっているのか意味不明な表記だが(原文の記事では括弧なんて使っていない)、日本の翻訳者や編集者なんて日本語学も勉強してなければ、実のところエディターズ・スクールのような専門学校で教えている組版の基本すら知らないやつがたくさんいるんだよね。そら学部を卒業しただけのサラリーマンが社内で教えてもらったていどのことだけで仕事してるのが出版社にいるサラリーマンたちの実態なんだから、編集のなんたるかなんて、高校を出て神保町で編集の仕事を始めた僕にすら「カス」扱いされるような能無しがやまほどいたわけだよ。僕は少なくとも、小学校に入る前からガリ版(謄写版)の内職をやっていた両親の資料(組版や挿絵などのマニュアルなど)を読んで育ったようなものなので、壁新聞やら同人誌やら自費出版やらを続けていたから、高校を出た時点で既に大手出版社の雑誌編集部に所属してもいいくらいの知識と経験と技量はあったと自負している。でもない限り、高校を出たばかりのアルバイトが音楽雑誌のクラシック部門でチーフ編集者と記事のライターを任されるなんてありえないわけだよ。かようにして、何の実績もない人間が自分のサイトだからって、自分を有能だの、電通マンから堂島の神と言われたことがあるとかデタラメに書いてたら、それこそキチガイだろう。
なお、ついでに Office の話をもう少し書いておくと、Microsoft Office を代替の Office suite アプリケーションに入れ替えるのが難しい理由の一つは、もちろんファイルをやりとりする相手がいて、相手が Microsoft Office を使っているからだ。残念ながら、OpenOffice だろうと LibreOffice だろうと、Microsoft Office の方がどんどんレイアウトの仕様を変えてくるので、常に再現性が不十分となる問題がある。独禁法違反に問えるような嫌がらせという証明は難しいので、他のソフトは常に追随する必要があり、しかるに Microsoft Office を使っている相手はレイアウトの崩れを気にして自分たちは替えようとしないし、相手にも代替の Office suite に変更しないよう求める。大企業や上場企業の場合は、発注にあたって入札の条件にされる場合すらあるのは、しょーもない規模でも SIer やベンダーの PM として従事していれば、誰でも知ってるだろう。
それから、たとえ自社の中だけで運用している場合でも、代替の Office suite に替えたり、あるいは Office suite どころか Google Docs や Google Spreadsheet あるいは他のサービスなどに変更したり、そもそも表計算アプリケーションの運用そのものを止めたりするにあたって、たいていの企業では社員のスキルやモチベーションを揃えられないという問題がある。そもそも、たいていのサラリーマンなんて、実は9割が Excel のマクロ一つ書けないド素人なのだが、慣れた UI から変わることに抵抗するし、セルに数値や文字を入力するくらいの作業しかしていない、要するに AI エージェントどころかチンパンジー以下のくせに、別のアプリケーションだと新しく覚えることが増えるので困るなどと抜かしやがる。たいていのホワイト・カラーなんて三井住友銀行に勤めていようと、道具を扱う技能という点では、工場で機械の整備も自分でしながら作業している多くのブルー・カラーどころか "McJob" の足元にも及ばない、スーツを着た単純労働者にすぎない。