Scribble at 2022-02-03 17:22:28 Last modified: 2022-02-03 17:41:46
この手の騒動って、よく分からないところがある。ホロコーストが「ユダヤ」という特定の民族に対する暴虐なり蛮行であることは教科書にも書いてあるような常識の筈で、これをいちいち疑っていたり間違って理解している人というのは、それこそ彼女がそういう生い立ちだったのかは知らないが、まともな教育を受けられなかったり、あるいは頭のおかしな大人に教え込まれたり、それともネットで無知無教養な連中が書いている「世界の真実」とやらを真に受けるほど深刻な精神状態に置かれていたかだろう。そうでもない限り、イデオロギーの違いはどうであれ、少なくとも中等教育ていどを受けている先進国の大人とは言えまい。そもそもホスト番組の司会なんてやってること自体が間違いだ。最近、この手の批評を脊髄反射的に cancel culture のような揚げ足取りと同列に扱う者もいるが、この事案はやはり致命的な間違いと言わざるをえない。
どれほど自分自身が差別される側の人間だろうと、僕がここでも何度か書いているように、差別というのは認知プロセス上の誤解とか思い込みとか錯覚によって誰にでも起きる可能性があることなので、当人が黒人だろうと被差別部落出身者だろうと在日朝鮮人だろうと発達障害だろうと犯罪者の子供だろうと、そういう人々が今度は別の理由で誰かを差別しないという保証などないのだ。それゆえ、われわれは差別する側の心理だとか認知プロセスの実態を詳しく調べたり分析して、よくよく理解しないといけない。それは、僕ら情報セキュリティのマネージャが対策を構想するために犯罪者やミスを犯す人たちの〈攻撃ベクトル〉を正確かつ応用が効く範囲にわたって理解していないといけないという事情と同じである。われわれは、そういうリスクに囲まれている。おそらく、逃げることはできない。「差別はいけなーい!」とか「リスクをなくせ!」などと、街頭で怒鳴ったり、チラシに印刷してバラ蒔いているだけでは何も解決しないのだ。
それにしても、この手の話題について神経を使わなければいけない発言を期待されたり繰り返してきている筈の彼女が、どうしてこんな単純なことで小学生にすら呆れられるほどの暴言を口にしてしまうのかが分からない。