Scribble at 2023-05-09 13:22:45 Last modified: 2023-05-09 15:03:16

で、拾得物を警察に届けていたので会社から出て随分と時間がかかってしまったのだが、もともとジュンク堂で Python の本を眺めようとしていたのだった。はっきり言って Python の本は「スキルアップ」のテキストを1冊だけ眺めたことがある以外は、殆ど洋書しか読んだことがない。なので、もちろん国内で出版されているものでも良いものがあれば目を通しておきたいわけである。[追記:いま会社で気づいたが、『Python クックブック』も持っていた。これは日本語訳の方が原著よりも優れているという、きわめて特殊な事例だ。]

ただ、実際にジュンク堂で見てみると、手元にある洋書で別に問題ないという印象を受けた。日本人が独自に書いている Python の本は、いまや C 言語の入門書に匹敵するくらい数が多いのだけれど、やはり C の本と同じく大同小異の感が否めないし、それぞれのテキストに認められる僅かな違いが何か効用として本質的に重要な違いとなって表れるかどうかを、僕ら実務家やエンジニアがいちいち読み比べて検証する責任などないわけである。プログラミングの初心者向けという本は僕らが読む必要などないし、かといってプログラミングの経験がある人を対象にしたテキストにしても、本質的な差は感じられない。であれば、どれを読んでも一定の知識は身につくという点だけで言えば、それは洋書を読んでも効用として同じであろう。ましてや英語で読めるわれわれが、わざわざ誤訳の可能性もある訳本で読む必要はないのだから、翻訳書はなおさら読む必要を感じなかった。

寧ろ、書棚を眺めていて「Python で●●する」みたいなアプローチの本が興味をひかれた。たとえば tensor 解析とか、機械学習とか、因果推論とか、OpenAI の利用とか、あるいは数値解析とかだ。それは、実際に Python を使っている人たちが Python を自分の仕事や研究の道具として使っている様子を紹介しているからである。別の言い方をするなら、プログラミング言語の言語仕様を説明するだけの入門テキストなんて、実はその言語での実装経験がゼロの人間でも、一定のレベルの文章は書けるのだ。実際、色々なプログラミング言語の入門書を長年にわたって書いている人物が日本の出版業界にいるのは、みなさんもよくご存じであろう(「誰だ、●●氏の悪口を言うのは!」とか実名をわざと出すレトリックもあるが、武士の情けでそれもやめておいてやろう)。つまり、日本で出版されているプログラミング言語のテキストは、その恐らく8割くらいが実装経験のない物書きが公式ドキュメントを使ってコピペしたり、自分なりの言いかえをしているにすぎないと思う。よって、何を読んでもそれなりの内容はあるのだろうが、結局はどれを読んでも同じということになるのである。

恐らくだが、プログラミング言語のパーサをプログラムとして正しく解釈できるようになったら、言語仕様のテキストくらいは GPT が数年後には都内のクズみたいなライターの代わりに書いてくれるようになると思う。

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