Scribble at 2021-01-30 12:44:46 Last modified: unmodified

古本の売買事業、とりわけオンラインで展開している事業を想定して考えてみると、まず EC サイトで販売されている古本は、買う方にしてみれば欲しい本なのだから、一定の需要があって競合が少なければ売る側に有利となるため、販売価格は上がる。そして業者に売払う場合は買ってもらいたい本なのだから、一定の需要がある限りで買う側に有利となるため、買取価格は下がる(そもそも引き取ってもらえない本もある。僕らが読んでいる洋書の専門書などは需要が極端になくて売れるまでにメンテナンスのコストばかりかかるため、たいていは拒否される。僕は洋書を売ったことはないが、小学生の頃に鉄道関係の専門書を売ろうとして古本屋に拒否されたことがある。もちろん子供が独りで売りに行ったわけではなく、親も一緒だった)。

つまり簡単な話をすると、古書店の事業者がカルテルを作れば圧倒的に有利となり、最低限の利ざやを確保できることになる。しかし、いまはそんなことをしても無駄になった。なぜなら既に古本の売買は〈主戦場〉が個々の古書店の EC サイトやアマゾンだけではなく、メルカリなどオンラインのフリー・マーケットにも広がっているからだ。古本や古書の売買事業つまりは専業だと都道府県の知事から古物商許可を得なくてはいけないが、個人が occasional に売買するだけなら何の許可も必要ないからだ。しかも売値を自分で好きに設定できる。もちろん売れなくては意味がないので、無茶な値段にもできない筈だが、古書店が実際に販売している値段を同じ値段を付けるだけでも、自分が古本屋に売り払うよりは絶対に高く売れるのだから、販売なり入金確認なり発送の手間暇さえ惜しまなければ自分で売ろうとする人が増えるのは当然だ。

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