Scribble at 2024-07-11 10:23:08 Last modified: 2024-07-11 10:27:44

添付画像

Steamで配信されているカジノシミュレーションゲーム「Coin Pusher Casino」に批判的なレビューを投稿したプレイヤーに、開発者から「Kill Yourself(自殺しろ)」というコメントが返ってきたことが話題となり、開発スタジオが謝罪する事態に陥りました。

Steamゲームに批判的なレビューを投稿したプレイヤーに開発者から「自殺しろ」とコメントが返ってきてインターネット上で話題に

今回は、上記の記事で取り上げられている話題というよりも、GIGAZINE のように、翻訳したコンテンツを提供しているサイトの注意点を書いておこうと思う。

"Kill yourself" という表現を「自殺しろ」などと訳すのは、はっきり言って中学レベルの英語だ。つまり、英和辞典を片手に直訳するしか能が無い生徒の理解力という意味である。もっとも、僕らのように進学校の中学生は、中1でも発言している人の意志や動機や発言されている状況などを考慮して訳するように授業では教えられていたので、「中学」とは言っても偏差値が70以下という条件付きである。しかし、まさか翻訳コンテンツで食べている会社のスタッフが中学レベルの英語で仕事をしているとは思えないので、ここではもう少し考えを進めてみると、恐らくは「自殺しろ」と表記する方が有利だという判断があったのではないかと思う。要するに SEO として害が少ないということだ。

英語のまともな運用能力を持っていれば、"Kill yourself" というのは発言している人の意図や願望を表現しているのであるから、本当は発言者自身が殺したい筈なのである。それができない状況だからこそ、他に選択できるのは相手が自分で死ぬ以外にない。よって、"Kill yourself" と命令して、発言者の代わりに殺そうとしているわけだ。なので、これは「自殺」のことではないのである。したがって、発言者の意図に照らして訳すなら、これは自然に「死ね」とか「死んじまえ」と訳したほうがいいのだ。しかし、SEO 的には「死ね」という表現を使うとページランクが下がる可能性があるのかもしれない。そこで、直訳にはなるがわざと「自殺しろ」などという妙な表現を使っているわけだ。普通に日本語の表現として読んでみても、「自殺しろ」なんて変な命令文だと感じるだろう。

かようにして、翻訳コンテンツを扱っているサイトには、翻訳において SEO という制約条件があって、適切な翻訳をしていない場合がある。

ちなみに、こういうことを書くと反射的に出てくるのが「翻訳に正解はない」といった口答えだ。そういう口答えがまともな反論になっていないのは、確かに翻訳に唯一の、永久に正しいと言えるような真理や正解はないだろう。そんなことは、言語哲学として考えてみても当然の話であって、学部レベルの議論である。しかし、だからといって不適切な訳や間違った訳が許容されていいわけがないのである。そして、僕がここで斥けているのは、少なくとも僕の英語能力から言って、不適切であるかもしくは端的に間違っていると思える翻訳なのであって、バリエーションとして許容されるような類の、いいひとぶったイージーな相対主義などで免責されていいことではないのである。少なくとも翻訳コンテンツで膨大なアクセスを集めて巨額の売上を上げているメディア企業であれば、その責任は軽くないはずだ。

  1. もっと新しいノート <<
  2. >> もっと古いノート

冒頭に戻る


※ 以下の SNS 共有ボタンは JavaScript を使っておらず、ボタンを押すまでは SNS サイトと全く通信しません。

Twitter Facebook