Scribble at 2021-06-01 11:08:47 Last modified: 2021-06-02 10:03:06

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Copyright 1990 and 1996 by Robert J. Sawyer. This essay may be freely reproduced or reposted, so long as it is reproduced in its entirety and is unaltered in any way.

WORDSTAR: A Writer's Word Processor

WordStar のクローンが開発されているという投稿も同時に Hacker News へ出ていたので、少し調べてみた。もちろん WordStar というワード・プロセッサ・アプリケーションは知っていたけれど、どのていど普及していて、テキスト編集ソフトとしての評価はどうだったのかは知らない。

日本語のワード・プロセッサについてなら、富士通 OASYS は長らくパーソナル機器も使っていたし、何度か書いているように 100HX や 300A といった業務用を使うキーパンチャーとしての経験もある。また、神保町で雑誌の編集者をしていた頃(1980年代末)に会社で導入した NEC パソコン用の『一太郎』や神戸大のドクターだった頃に一時期だけ使った『一太郎』の使い勝手も少しは覚えている。どこかで使わせてもらった、シャープの『書院』も記憶にあるので、それなりに幾つかの日本語ワード・プロセッサの経験もあると言えるだろう。でも、テキスト・エディタについては幾つか調べて使ってきたから、少しは海外の事情も知っているけれど、海外のワード・プロセッサについては WordStar だけに限らず他のソフトウェアも殆ど知らない。英文で原稿をどこかへ入稿した経験がなく、そうする必要に迫られた仕事もないからだ。たぶん博士課程に在籍したまま BJPS とか Philosophy of Science とかに投稿する機会があれば使ったのかもしれないが、それはそれでワード・プロセッサを使わずに別の方式で投稿していたかもしれない。いまなら HTML で書いてから PDF として出力したファイルを入稿できる学会も多くなってきた。

WordStar のクローンはこちら。なお名前は "WordTsar"(ワード皇帝)だ。

http://wordtsar.ca/

さて、WordStar についてウィキペディアで確認すると、CP/M の時代(40年以上も前)からある、相当に年季の入ったプロジェクトだ。Windows 版への対応が遅れて MS WORD にシェアを奪われてしまったのが運の尽きで、既に現在は権利をもつ会社が「ある」というだけにすぎず、メンテナンスもアップデートもされていない。ゆえに、ソフトウェアとしては死体を蛇に絞められているようなものであって、どうにも仕様がなくなっているようだ。それゆえ、クローンなりエミュレータが出てくる話になるわけだが、ソースコードはともかくとして UI や操作性が似ているだけでも「権利者」とやらに突っ込まれなかったのは幸いだ。

実際に WIndows 用の "WordTsar" を入れて使ってみたのだが、カーソルの移動に慣れるまでは少し面倒だと感じた。そもそも、キーボードでカーソルを〈上下左右に動かす〉という挙動を入力するといっても、既に何種類かの方法を並行して使っているからだ。たとえば、TeraTerm Pro のようなターミナル・エミュレータでは Ctrl + [, /, ;, ' という Emacs(UNIX)方式を使うし、各種のゲームでは w, x, a, d というキーを使う。これに加えて、e, x, s, d という(ふつう指の動きからして e が上なら下は x じゃなくて c だろう)奇妙なキー・マッピングに慣れないといけない。ソフトウェアそのものは面白そうだが、既存のテキスト・エディタや IDE に加えてまで慣れる必要があるとは思えない。既にそういう時代は過ぎ去ったのだ。

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