2021年07月21日に初出の投稿

Last modified: 2021-07-29

僕は、何年前からかは覚えていないが、少なくともコーポレート・サイトの運用を始めた10年以上は前から、会社の代表メール・アドレスも運用してきた。もちろん、既にそういうものは実質的にない。いちおう info@ とか contact@ というメール・アカウントはあるが、これらは全て僕個人のアカウントで受信している、GMail のエイリアスにすぎない。会社のメール・サーバを GMail にする(つまり Google Workspace をプラットフォームにする)前からでも、info@ や contact@ 宛のメールは、全て僕だけが受信していて、弊社として何らかの対応をするべきものだけを経営会議や役員会へ転送してきた。そこでの取捨選択に間違いは〈絶対に〉なかったという自負もある。テレビ局や新聞社の人物を紹介するといった、たいていは嘘っぱちの話に応じる必要など無いし、たとえ送信元が有名または大企業でも、テンプレで送ってきてるのが明白なゴミに人間様が手を動かして応じるなど、時間の決定的な浪費というものだ。そして、実際に送られてくるメールの大半はフィルタリングで済ませられるので、最近は取捨も選択もしない場合が多い。GMail のスパム判定も、おおむね良好である。

それらのゴミとは、たとえばここでも紹介した、「ワークタンク 瀬戸」と称する人材紹介の営業メールとか、「技術者支援機構」を名乗る明らかなスパム・メールである。この二件は Twitter 上でもネタになるほどよく知られていて、ネット・ベンチャーで働く人事系の方であれば、おおかた自分でも受信したことがあってご存知だろう。他にも多いのが、SEO 対策を支援するとか、SFA の使い方を指南するだとか、オンラインでの評判をコントロールする(口コミサイトに否定的な評価をかき消すほど大量の好意的な評価を投稿する)とか、要するに雑用の類である。

こうした営業メールの文面を読むことは殆どない。もちろんクズと断定したのだから当たり前なのだが、それでもたまに何かレトリック(営業系の人々が「ロジック」などと雑に言ってるあれ)とかプレゼンテーションの手法を変えてきていないかどうか眺めることがあって、あまりにも馬鹿なことをやっているのを見て会社で笑ってしまうこともある。

よくあるのが、まず、新卒などに軽い調子で文章を書かせたかのような、自分たちでは「フレンドリー」だと思っているのかもしれないが、単に無礼としか思えない文章を送ってくる事例だ。そして次にありがちなのが、業界の情勢とか見通しについて、自分たちの身勝手な考えや意見を堂々と押し付けてくる文章である。「これからはAIの時代なので~」とか「先進的な企業ではRPAの業務体制を既に導入しており~」などと分かったふうなことを書いているが、その「AIの時代」やら「RPAの業務体制」とやらになって真っ先に一掃されるのが、それこそ君たちのようなツールの使い方をサポートするだけの会社や SEO 会社だという自覚がまるでない。

また、こういう押し付けがましい連中の、かなり昔から目立つ特徴は、自分たちが社内で使ってるだけの隠語を他社へのメールで臆面もなく使うことだ。これもかなり無礼な態度と言える。ネットでは日立システムの社内用語としても有名になった(別に日立の独自用語ではなく元からある熟語だ)「拝承」という言葉があるけれど、まさか日立の社員が他社とのやりとりだとか経産省の官僚にメールで「拝承」などとは書かないだろう。

しかし、口先だけが勝負の会社になればなるほど、営業プロトコルの手法として効果的に相手を煙に巻くようなレトリックを教えるものであり、その一つとして、自分たちの勝手な言葉遣いで相手に(少なくとも)興味をもたせるという手法があるのだろう。他にも、抗弁するのが難しい〈常識〉や〈正論〉を効果的に並べて相手に反論させ難くしたり、あるいは断る理由が相手にとっての恥となるよう仕向けることで「否」と言い難くさせたり、僕もこうした詐欺まがいの弁論術みたいなものは、東京で働き始めたときに「さいでりあ」というサイディング・ボード(建材)の営業として研修を受けたときに色々と教わった。いまでこそ堂々と「コールド・リーディング」と呼ばれたり、あるいは「ヤクザに学ぶ営業テクニック」みたいなタイトルでビジネス本が出ていたりする手法だが、政治的なアジテーションや広告など、もともとある手法も含めて、こうした心理戦は社会に出たら多かれ少なかれ誰でも経験することだとは思う。

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