Scribble at 2021-07-21 08:12:37 Last modified: 2021-07-21 10:40:09

これまで多くの絵本を手掛けてきたのぶみさんは、自伝の中で、中学生の頃に腐った牛乳を担任教師に飲ませたり、専門学校時代に授業のやり方に腹を立て、「今度会ったら殺すぞ、テメェ!!」と女性教員を 恫喝 したりしたことなどを書き、批判されていた。自身のSNSでも、先天性疾患を持つ子供や親に対する不適切な発言をしたとして、問題視されていた。

絵本作家のぶみさん、五輪文化プログラムへの出演辞退…腐った牛乳を教師に飲ませるなど不適切な言動

昔の東京オリンピック、それから他の国で開催された場合でも、たぶん丁寧に調べたら不適切な人選なんて幾らでもあったのだろうと思う。ただ、オンラインで調べられる範囲で分かるような過去の事実であれば、既に何回かの過去のオリンピックでも調べられる環境にはあった筈なので、それで不適切な人選が殆ど話題になっていなかったのだから、今回の東京オリンピックの主催側がいかに脇の甘い、逆に言えば国民だけでなくトヨタ自動車を始めとするスポンサーをも舐めているかという態度の現れだと言えなくもない。実際、既にトヨタはオリンピックの趣旨について伝えるようなコマーシャルの放映を中止すると報じられていて、これはオリンピックやパラリンピックの開催に反対する多くの国民(=消費者)に配慮したという事情だけではなく、オリンピックの主催側や IOC に対する不信感からでもあると言われている。そういう状況のもとで、ロゴを盗作したデザイナー、女性に対する侮蔑的な態度のプロデューサー、障害者に暴行を加えていたミュージシャン、そして元不良少年で現在もデタラメをオンラインで吐き続ける絵本作家と、いま分かっているだけでも何人かの人物が主催側の任を解かれている。ああそうだ、「IT(イット)」のオヤジもいたんだっけ。もちろん、ヤクザが作家になるくらいの国だし、元不良という経歴ていどなら絵本作家という仕事まで取り上げなくてもいいと思う人は多いのだろう。ただ、この人物については現在進行系で多くの人が作品や公での言動を非難しているようだ。

いまでこそ大人も絵本を楽しんで読むようになったのだが、かつては絵本は子供だけが読むものとしてしか考えられなかった。しかも、絵本には「何歳向け」といった指定があって、作品を子供に読ませることにどういうリスクがあろうと一時的なこととして軽視される傾向にあったと言える。僕は幾つかの作品を覚えていて、40年以上が経ってからでも発売されていたので買い求めて所有しているのだが、多くの人は幼稚園や保育園に通った頃に読んだ絵本の大半を忘れていることだろう。しかし、そのときに受けた印象とか生じた感情なり感想は、何らかの作用を自分自身に与えている可能性があって、それを改めて検証したり実証することは、現代の認知科学では不可能だし、恐らくは波及効果が減衰して原理的にも影響関係を特定することはできないだろう。

それゆえ、幼児に対する絵本の影響(とりわけ悪影響)を理解して是非を判断し対処するには、いわばリアルタイムの対応が必要である。そうでないと、2年も経てば多くの子供は同じ絵本を読まなくなるし、多くの親も馬鹿正直に「何歳向け」と書かれているせいで子供に読ませなくなるか、新しい本を借りたり買ってくる。そうなれば、絵本を読んでどう思ったかを話し合う親子がどれほどいるのかという家庭の問題もあり、かつて読んだ絵本の影響なんて誰にも分からなくなる。

要するに絵本作家というのは、こう言ってよければ簡単に他人の心理を操る完全犯罪ができるのだ。

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